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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「ゴンドラ」 1987

ゴンドラ

★★★☆☆

 

あらすじ

 母親と高層マンションで暮らす少女は、ある日飼っていた小鳥が怪我をして困っていたところを、たまたまマンションの外窓の清掃をしていた青年に助けられる。

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感想

  少ないセリフで展開する物語だ。そんな中で愛想も愛嬌もない可愛げのない主人公の少女がいい。子どもってそんな低い声出たっけ?と思うようなぶっきらぼうな受け答えをする。両親は離婚し、母親にはかまってもらえず、子供らしさを失ってしまっている。甘えることを知らず、早く自立しなければと自身を急き立てている。

 

 一方の青年は、田舎から出てきて都会で高層マンションの外窓の窓ふきの仕事をしている。いつも外から眺める窓の中の人々とは関わることはなく、孤独に暮らしている。そんな二人がふとしたきっかけで出会う。

 

 

 青年と少女、年齢も違えば性別も違うが、どちらも居場所がなく、ある意味では似た者同士だ。なんとなく交流が始まる。そして、二人で青年の故郷青森へと出かける。ただこの展開は、少女が親に黙って出てきたのは置いておくとして、純粋な目でみればなんともないのだが、荒んだ心で見るとどうしても犯罪の匂いを感じてしまって困った。

 

 実際にそういう事件が起きてきたからだが、世間の見る目は相当変わったのだなと実感する。当時ぐらいから変わったのか。それから、少子化で子供を見る機会がめっきり減ったことも大きいかもしれない。

 

 昔は大きい兄が小さな妹の面倒を見ていることも割と普通だったのかもしれないが、今は子供を連れた母親ぐらいしか見ることがなく、それ以外の組み合わせだと一瞬訝しく思ってしまうところはある。

 

 青年の両親に可愛がられ、少女に子供らしさが見られるようになっていく。そして青年も、一度距離を取ったことで反発を覚えていた父親に対する気持ちが変化していく。

 

 そんな二人の再生、というか成長を、エンディングの一つのシーンで表現してしまうのは見事だった。言葉少なながらも少女と青年の心の動きがしっかりと読み取れる映像が積み重ねられて、しみじみとした気持ちになる。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/原案 伊藤智生


出演 上村佳子/界健太/木内みどり/出門英/佐々木すみ江/佐藤英夫/鈴木正幸/長谷川初範/奥西純子/木村吉邦

 

ゴンドラ

ゴンドラ

  • 上村佳子
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ゴンドラ (映画) - Wikipedia

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