★★★★☆
あらすじ
京都で過ごす高校生男子。
感想
わずか一時間強で、オムニバスのようにタイトルが付けられた3つの話に分かれている短い映画。何か壮大な物語ではなく、高校生男子の何気ない日常が描かれていく。
まず何と言っても舞台となる京都の美しい映像に心癒される。古い家屋が並ぶ小径や風情のある夜の河原、深い緑の苔やあでやかな紅葉といった自然とうまく調和する歴史ある神社仏閣と、やっぱり京都はいいなと素直に思ってしまう。情緒がある。
そして展開される物語もどこか詩的だ。人生を切り開くために動き出した友人や、夜の学校と幼馴染の女子、喧嘩、そして父親との関係など、高校生なら色んな思いがよぎるシチュエーションが用意されている。何十年と経った時に思い出すのは、きっとこんな出来事たちのはずだ。
時おり差し挟まれる印象的な映像や、効果的なたっぷりとした間、ちょっとした時系列の入れ替えなどが、淡々したテンポの中でちょっとしたアクセントとなっていて、物語を引き締めている。大作ではないが、キラリと光るものがある良い作品。
スタッフ/キャスト
監督/脚本/撮影 小林啓一
出演 高杉真宙/葵わかな/清水尋也/金子大地/桃月庵白酒/佐津川愛美/田中壮太郎