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「ジャッキー・チェン カンフーマスター」 2009

ジャッキー・チェン カンフーマスター(字幕版)

★★☆☆☆

 

あらすじ

 勉強が出来ずに馬鹿にされるインドネシアの少年は、北京で憧れのジャッキー・チェンに弟子入りし、皆を見返そうとする。別邦題は「ジャッキー・チェン カンフー・キッド」。

 

感想

 ジャッキー・チェンの名前を冠しつつも、主役は中学生の少年が務める。ジャッキー・チェンは映画の冒頭と最後にほんの少し登場するだけの客寄せパンダ的存在だ。主人公が憧れのジャッキー・チェンを探しながら様々な経験をし、成長していく小中学生向けの冒険物語だ。

 

 だがまず映像がホームビデオのような画質で萎える。それも時間が経つにつれて徐々に慣れてはくるのだが、それでも昔の中国や韓国のドラマを見ているような気分だ。音楽の使い方も古臭い。一方でアクションはさすが本場と言うべきか、かなり本格的ですごいことをやっているのだが、残念ながらいまいち映えず、あまり伝わってこない。

 

 

 そして物語のあちこちから漂ってくるのはプロパガンダ臭だ。オープニングで流れる音楽の歌詞もそうだし、物語のテーマもそうなのだが、誇りある中国人であることを忘れるなと訴えかけている。「勉強しろ」「お年寄りや祖先を敬え」などは青少年向けの道徳ドラマで言いがちなことであるが、そこに国家が絡んでくると話が違ってくる。別に愛国心や国に誇りを持つのはいいのだが、他人に強制されるとイラっとする。ましてや国家が自らそれを押し付けてきたらなおさらだ。

 

 主人公はインドネシア在住だが華僑の息子で、彼のように中国にルーツを持つ人間は中国の外にたくさんいる。世界中の各都市に中華街が出来てしまうほどだ。そんな彼らを中国の影響下に留めておくためのプロパガンダなのだろう。将来、国外に出ていくかもしれない子供たちに、早い段階から意識を植え付けようとしている。

 

 そんな国家の意思が透けて見える映画なのだが、その割にはスリが登場したり、誘拐事件が起きたり、警察が凶悪犯に逃げられてしまったりと、中国のイメージが悪くなりそうな出来事も描かれていたりする。それは大丈夫なの?と、どうでもいい余計な心配をしてしまった。

 

 中国人としての誇りを大スターのジャッキー・チェンが説くのだから効果絶大なのは分かるが、彼がそんなことに加担しているのを見るのは複雑な気持ちだ。噂には聞いていたが、これか…と切なくなった。日本でも同様なことをして無垢な人々を騙すビジネスモデルがあるが、なにも彼がやらなくても…と思ってしまった。彼の場合はいろいろ裏の事情があるようだが。

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スタッフ/キャスト

監督 ジャン・ピン/ファン・ガンリャン

 

出演 チャン・イーシャン/ユン・ワー/ユエン・ブン/タン・ヤン/チン・ラン/ウー・ユエ

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ジャッキー・チェン カンフー・キッド - Wikipedia

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