★★★★☆
あらすじ
過去に強奪され国外に持ち出された文化財を元の国へ返還させる運動が盛り上がる中、消息不明となっている中国の国宝級の十二支のブロンズ像を手に入れることを依頼されたトレジャーハンター。
感想
ジャッキー・チェンが、最後の本格アクション映画として挑んだ作品だ。その意気込みを感じさせるような、アクション満載の映画となっている。冒頭の全身ローラースーツによるカーチェイスから、無人島での冒険活劇、そして決死のスカイダイビングなど、その種類も豊富で、色んなパターンが楽しめる。ジャッキー映画定番の三菱車がちゃんと使われているのも地味にうれしい。
Nah di film Chinese Zodiac yg dibintangi Jackie Chan ini, ada Mitsubishi Pajero nya loh tweeps, berikut fotonya pic.twitter.com/h9xKc9xi
— Mitsubishi Motors ID (@Mitsubishi_ID) February 1, 2013
大きなヤマ場が何度もあり、体感的には三本分くらいの映画を一つの映画に詰め込んだような、内容の濃さだった。いろんな要素を詰め込み過ぎると取っ散らかった印象の物語になりがちだが、この映画はそれらがすべて凄いアクションを見せるため、という目的がはっきりしているので、一貫性を失っていない。ただアクション以外のシーンは、テンポよく描こうとしすぎていて、少しストーリーは分かりにくくなってしまっている。
この映画で感心するのは、前振りがしっかりとしていることだ。何かが起きる前に必ずちゃんとした丁寧な説明が行われる。これくらいやってくれると分かり易くていい。まさに子供から大人まで楽しめる大衆娯楽映画といった趣がある。
奪われた文化財を自国に取り戻そうというメッセージは、愛国心を煽るプロパガンダ臭がないわけでもないが、中国だけでなくエジプトやインドなど古代文明が栄えた地域を中心に全世界的なムーヴメントとして描いているので納得できる。それに中国はかなりの被害国なので、そう言いたくなる気持ちも理解できる。トレジャー・ハンター物語シリーズの最終作に相応しいメッセージかもしれない。
ジャッキー・チェンの全盛期の動きと比べてしまうと物足りなく感じるかもしれないが、それでも、豊富なアイデアでもっとすごいアクションを見せてやろう、という彼の情熱は、全く衰えていないことがよく分かる。クライマックスでのスカイダイビングの着地シーンは、ジャッキーはやっぱりすごいなと改めて感心してしまうような迫力があった。
コミカルでカッコいい彼のようなアクション・スターが今後現れることはないだろう。彼の唯一無二ぶりを噛みしめるように味わいたい、最後の本格アクション映画だった。エンドロールでの彼のメッセージに、しんみりとしてしまう。
スタッフ/キャスト
監督/脚本/製作総指揮/出演
脚本/製作総指揮 スタンリー・トン
出演 クォン・サンウ/ジャン・ランシン/ヤオ・シントン/リアオ・ファン/ローラ・ワイスベッカー/オリヴァー・プラット/チェン・ボーリン/スー・チー/ダニエル・ウー/ジョアン・リン
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