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「決算!忠臣蔵」 2019

決算!忠臣蔵

★★★☆☆

 

あらすじ

 金銭面でのやり繰りに主眼を置いて「忠臣蔵」を描く。

 

感想

 有名な「忠臣蔵」の裏で行われていた財政面の様子がよく分かる映画だ。美談や勇ましい話ではあまり語られることがない側面だが、何よりもお金は大事だということがよく分かる。お金がなければ何もできない。何かやろうとする時に、お金は何とかなるでしょ、とか言っている集団は大抵失敗する。幕末の何も成し遂げられなかった末端の自称尊王攘夷派の志士のように、大義のために金をよこせとか他人にタカっているようでは先が知れている。

 

 そんな大事なことなのに物語で金銭の話が省略されがちなのは、どうして辛気臭くなってしまうからだろう。予算はいくらあって、これでいくら使うといくらしか残らない、なんて話をいちいちしていたら盛り上がるものも盛り上がらない。

 

 だがこの映画ではそれをキッチリと笑いに変えているのは良かった。たくさん出てくる役者陣が曲者ぞろいで、主演の大石内蔵助役の堤真一を中心にしてたくさんの笑いを生んでいる。中でも、西村まさ彦のうさん臭さ満載の演技が面白かった。

 

 ただたくさん生み出される笑いは、大爆笑ではなく小さな笑いばかりだった。お金の話になるとどうしてもセコい笑いになってしまって、大笑いさせるのは難しいのかもしれない。

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 忠臣蔵のメインとなる討ち入りは、最初は全然そんなことを考えていなかったのに周囲の事なかれ朱愚に義憤を覚えて気が変わった、という流れになっている。こういう説は元々あるのかもしれないが、最初からすべて計画通りに事を運んだというよりもリアリティがあるように感じられて興味深かった。

 

 最後は討ち入りの様子を描かないままにエンディングを迎える。それを描いてしまうと映画の主旨がブレてしまうのかもしれないが、それでもやっぱり見たかった。どうしても消化不良感が残ってしまう。結局、最初から最後までせせこましい話に終始する映画、という金銭を描く物語が陥りがちなところに落ち着いてしまった。それなりに面白く見られたのだが、「面白かった」というよりは「勉強になった」と言った方がしっくりくるような映画だった。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本

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原作 決算! 忠臣蔵(新潮文庫)


出演

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岡村隆史/濱田岳/横山裕/荒川良々/大地康雄/西村まさ彦/木村祐一/小松利昌/沖田裕樹/橋本良亮(A.B.C-Z)/寺脇康文/鈴木福/千葉雄大/鈴鹿央士/荻野由佳/上島竜兵/堀部圭亮/山崎一/波岡一喜/宮本大誠/芦川誠/山口良一/近藤芳正/桂文珍/村上ショージ/板尾創路/滝藤賢一/笹野高史/竹内結子/西川きよし/石原さとみ/阿部サダヲ

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音楽 髙見優

 

「忠臣蔵」の決算書 - Wikipedia

 

 

登場する人物

大石内蔵助/矢頭長助/大高源五/不破正種

 

 

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