BookCites

個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「紀元前1万年」 2008

紀元前1万年 (字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 村を襲い恋人を連れ去った謎の部族を追って、仲間と共に旅立つ青年。

 

感想

 雪山(おそらくピレネー山脈)の村に住む主人公の青年が、神の国(おそらくエジプト)に連れ去られた恋人を含む仲間たちを救出に向かう物語。主人公の村を襲った者たちは奴隷が必要だったようだが、そんな遠い場所まで確保に出向くものなのかと驚いてしまった。帰りは奴隷たちを徒歩で何日もかけて運ばなければならないので、相当な手間暇がかかる。

 

 だが考えてみれば、後にアメリカもわざわざアフリカから奴隷を運んでいたくらいなので、奴隷の調達とはそれほど大変なことなのだろう。近場ばかりで調達すると人数が限られるし、反抗されて治安が悪化すると面倒だったりで、色々とデメリットがあるのかもしれない。

 

 

 旅の過程で多くの困難を乗り越え、共に戦う仲間を見つけ、皆のリーダーとして大きく成長していく主人公の姿を描いていく筋立てなのだが、正直なところ、そのためのエピソードがどれも取って付けたようなものでしかなく、いまいちリアリティを感じられなかった。たくましく成長したというよりも、肝心な場面でラッキーだっただけの印象だ。

 

 主人公一行らは旅の途中で敵に追いつくことができず、最終的には相手の王国と戦うしかなくなってしまう。敵の数より奴隷の数が多いのだから、彼らと共に戦えば勝てるという理論には納得したが、彼らとコンタクトをとるために収容所に簡単に出入りできてしまうのはさすがに設定が雑過ぎだった。それができるなら味方を逃がすこともできてしまうはずだ。戦う必要がなくなってしまう。

 

 そして奴隷と共に起こした反乱も、あっけなく終わってしてしまう。おそらく、正味の時間にしてわずか30分ほどしかかからなかったのではないだろうか。国王を一発で倒したのは気持ちよかったが、それができるならとっくの昔に奴隷の誰かがやっていてもおかしくないような気がした。その後の恋人の復活も含めてすべてがあらかじめ決められていたかのように物事が進んでしまい、あまり気分が盛り上がらなかった。

 

 そんなおざなりなストーリーなのに、音楽は壮大、ナレーションは情感たっぷりで、大仰さだけが際立ってしまっている。

 

 じっくり見てしまうと不満は多いが、マンモスやサーベルタイガーの登場にドキドキしたり、スケールの大きなピラミッド建設シーンには息を飲んだりと、映画らしさを感じられる演出のポイントは押さえている。気楽に眺めるにはまずまずの映画と言えるかもしれない。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/製作 ローランド・エメリッヒ

 

脚本/製作総指揮/音楽 ハラルド・クローサー

 

出演 スティーヴン・ストレイト/カミーラ・ベル/クリフ・カーティス/モナ・ハモンド/リース・リッチー/ジョエル・フライ

 

音楽 トーマス・ワンダー

 

紀元前1万年 (字幕版)

紀元前1万年 (字幕版)

  • スティーブン・ストレイト
Amazon

紀元前1万年 - Wikipedia

紀元前1万年 【字幕版】 | 映画 | 無料動画GYAO!

 

 

bookcites.hatenadiary.com

bookcites.hatenadiary.com