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「殺さない彼と死なない彼女」 2019

殺さない彼と死なない彼女

★★★★☆

 

あらすじ

 学校生活に何も期待しなくなってしまった男子高生は、不思議な行動を取る死にたがっているという女生徒に興味を持つ。

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感想

 死にたがっている女子高生と彼女に興味を持った男子高生を中心に、数組の高校生たちの関係が描かれていく。

 

 主人公ふたりはあまり恋愛要素を感じさせないような憎まれ口をたたき合う間柄だ。「死ね」とか「殺す」とかのワードが飛び交う二人の会話は、これをずっと続けていたらどちらのかの心が確実に病んでしまいそうだったが、ある意味でお互いにすでに病んでいるからこうなってしまっているのだろう。

 

 

 二人の恋愛がどうなっていくかにはあまり焦点が当てられておらず、物語がどこに向かおうとしているのかが曖昧で少し推進力に欠ける展開だ。だが、繰り広げられる会話が面白いので、全然見ていられる。そしてなんの説明もないまま、二人の関係がかなり進展しているようなのも面白い。いつの間にか二人きりで部屋で過ごすような関係になっていた。

 

 それから、他の登場人物たちのエピソードも含めて、どこにでもあるような地方のショッピングモールでのシーンが何度も出てくるのが良かった。きっと地方の中小都市に住む現代の中高生にはリアリティが感じられて、親近感が沸いたはずだ。

 

 このまま最後まで彼らのツンデレなゆるい日常が描かれ続けて終わるのかと思っていたら、終盤に急展開が待っていた。そしてこれまでの何でもないようなシーンの中にいくつもの伏線が張られており、実は時系列にひねりを加えた構成だったことが明らかになってくる。ラストに向けてどんどんと面白さが増していく映画だ。

 

 序盤から妙に光が多すぎる映像が印象的で、ひねった構成の物語だと分かった後で、もしかしたら光の量で過去と現在を描き分けていたのか?と思って見直してみたが、ただの思い過ごしだった。この監督の過去の作品もそんな感じなので、監督の個性みたいなものなのだろう。

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スタッフ/キャスト

監督/脚本 小林啓一

 

原作 殺さない彼と死なない彼女 (中経☆コミックス)

 

出演 間宮祥太朗/桜井日奈子/恒松祐里/堀田真由/箭内夢菜/ゆうたろう

 

音楽 奥華子

 

殺さない彼と死なない彼女 - Wikipedia

 

 

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