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「モービウス」 2022

モービウス (字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 自らの血液疾患を治すための研究を行っていた天才医師は、自らに人体実験を行うが、失敗したことに気付き後悔する。

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 「ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース」(SSU)第3作目。

 

感想

 人体実験により人間の生き血を欲するようになってしまった男が主人公だ。そもそも世界征服のためでも、超人的な力を得るためでもなく、ただ長くは生きられない自分の病気を治したかっただけだったのに、モンスターになってしまったことが哀しい。ただ皆と同じように普通に生きたいと望んだだけだ。不純な動機は何もない。

 

 主人公は、他人を傷つけてしまうことを恐れ、自らに人体実験をしたことを後悔する。それまで挑発的な言動をしたり、ノーベル賞を辞退して不遜な態度を見せたりと邪悪な雰囲気が漂っていただけに、ただ震えるだけの彼の様子は意外だった。

 

 

 そんな彼とは対照的に、同じ病気を抱えていた主人公の幼なじみは、自ら進んで自身をモンスター化してしまう。そして病に冒されたこれまでの人生を取り返すかのように、人を襲って生き血を吸いながら、手に入れたパワーを謳歌するようになる。

 

 邪悪になってしまった幼なじみとそれを阻止しようとする主人公、二人の戦いがメインのストーリーだ。共に同じヴァンパイア的能力を手に入れた二人なので、スーパーヒーロー映画と言うよりは、ヴァンパイア映画と言った方がしっくり来る内容だ。ヴァンパイア同士の戦いが描かれる。一般人に犠牲者は出るものの、世間からは離れて人知れずひっそりと戦っているような印象もある。

 

 この物語の前提となる主人公らの能力がどんなものなのか、何が出来て何が出来ないのかが曖昧でそれが引っ掛かるのと、アクションシーンが速すぎて何がどうなっているのかが分かりづらかったのがネックだったが、それなりに楽しむことが出来た。

 

 悪くなかったなと思いながら見終わった後にネットで評判を調べてみたら、散々な言われようで驚いた。酷すぎてネットミームとしてネタにされまくっていたらしい。「車内に「モービウス」のチケットを2枚置いておいたら車上荒らしに遭い、4枚増やされていた」というジョークには笑ってしまったが、そんなにひどい映画だったかなと意外な感じだ。

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 おそらく叩いている人たちはきっとこの映画に多くを期待してしまったのだろう。確かにストーリーはシンプル過ぎるくらいだったし、笑いも驚くような展開もなく、クライマックスの戦いも拍子抜けするほどあっさりとしていた。想像を超えてくるようなプラスアルファを求めていた人たちには物足りず、期待外れだったのだろう。

 

 だが、このシリーズはこれまでいまいちだったけど続編だから一応見ておくか、くらいの気分で見始めた自分にはこれが心地よかった。最近はサービス精神が旺盛なのはいいが蛇足にしかなっていない映画が多くて食傷気味だったので、余計なことをしないあっさりとした内容に好感を持ってしまった。水戸黄門やⅤシネマのような安心感だ。

 

 リスクを冒してポイントを稼ぎにいこうとしなかった分、失点も少なかった映画、といったところだろうか。欲を感じない映画ではある。

 

スタッフ/キャスト

監督 ダニエル・エスピノーサ

 

原作 Morbius: The Living Vampire (2013) #1 (English Edition)


出演 ジャレッド・レト/マット・スミス/アドリア・アルホナ/ジャレッド・ハリス/アル・マドリガル/タイリース・ギブソン/コーリイ・ジョンソン/マイケル・キートン

 

モービウス (字幕版)

モービウス (字幕版)

  • ジャレッド・レト
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モービウス - Wikipedia

 

 

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