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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「ネオン・デーモン」 2016

ネオン・デーモン(字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 モデルの世界に足を踏み入れた少女は、業界の闇に飲み込まれていく。

 

感想

 美しく意味深な映像で綴られるモデルを目指す少女の物語だ。やや難解で好き嫌いや賛否のありそうな作品だとは思うが、個人的には好きだった。スタイリッシュというかもはやアーティスティックな映像の連続で気持ちいい。特に映画が始まってからタイトルバック、そして血まみれの主人公が登場するまでの流れが、カラフルな映像と印象的な音楽でグッと来た。

 

 直接的な説明のシーンがほぼなく抽象的で分かりづらく感じるかもしれないが、単純に煌びやかなモデルの世界の裏側を描いた内幕ものと言えるだろう。田舎からモデルの世界に足を踏み入れた少女が、最初はドロドロとした業界の闇に圧倒されつつも、徐々に順応し自信を深めていったが、結局は飲み込まれてしまう。そんな典型的な物語が前衛的に描かれている。

 

 

 モデルたちが悪魔風のメーキャップをしていたり、「血」が登場するシーンがたくさんあったりと業界を悪魔の世界に見立てており、各シーンが何を意味しているのか考えるのも面白い。主人公が泊まっていたモーテルの部屋に唐突に現れた野生の動物は、野心や欲望を表し、彼女の中にそれが芽生えたことを示唆しているのだろう。キアヌ・リーブス演じる管理人は、主人公を悪魔の世界から救出する悪魔祓いのような存在かと思ったが、彼もまたあどけないモデル志願者たちを食い物にする悪魔なのか。

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 それからある場所では見向きもされなかったモデルが、別の場所では突然注目を集めたりする業界の訳の分からなさも興味深かった。彼女の魅力を皆が見過ごしていたのか、それとも突然輝きだしたのか。だが実際にこれらは理屈ではなく、まさに感覚でやっているからこその現象なのだろう。そんな世界だから、訳の分からない人たちが集まって魑魅魍魎となっていくのかもしれない。

 

 主人公を演じるエル・ファニングがいかにも大人になりかけの少女といった感じでとても存在感があり、魅力的だった。彼女をはじめ、美しいモデルたちばかりが登場するので、それだけでも見ていられる。それに色々な解釈が出来そうで、何度でも見られそうな映画となっている。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/原案 ニコラス・ウィンディング・レフン

 

出演 エル・ファニング/カール・グルスマン/ジェナ・マローン/ベラ・ヒースコート/アビー・リー/デズモンド・ハリントン/クリスティーナ・ヘンドリックス/キアヌ・リーブス

 

音楽    クリフ・マルティネス

 

撮影 ナターシャ・ブライエ

 

ネオン・デーモン(字幕版)

ネオン・デーモン - Wikipedia

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