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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「億男」 2018

億男

★★☆☆☆

 

あらすじ

 借金を返すために家族と離れて働きづめだった男は、宝くじで三億円を当てるも親友だったIT会社の社長に持ち逃げされてしまう。

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感想

 冒頭は華やかなパーティーシーンが10分ほど続く。嬉しそうでも悲しそうでもなく、何がしたいのかよく分からない主人公がパーティーを漂流する様子を、何の説明もないままにずっと見続けるのはいきなりしんどかった。せめて主人公がこのパーティーに対して楽しもうとしているのか、批判的に見ているのか、それとも困惑しているのか、どんな態度で臨んでいるのかを明確にして欲しかった。どういうつもりで見るべきなのかが全く分からない。

 

 その後、宝くじで三億円を当てた主人公が、今はIT長者でかつての親友に相談に行ったところだったと分かる。主人公が酔いつぶれているうちに友人が金を持ち逃げしてしまい、それを取り戻すために彼の行方を追うことになる。

 

 

 ようやく物語が動き始めたので話に集中したいところだが、主人公の鬱陶しい髪型が気になって仕方がなかった。この髪型は主人公のうだつの上がらなさを表しているのだろうが、作り過ぎでわざとらしさがある。友人役の高橋一生やその他のキャラもそうだが、皆がキャラを髪型で表現しようとし過ぎていてげんなりした。

 

 この映画に限らず、邦画は髪型をキメすぎ、固めすぎな印象がある。現実にそんな髪型をしている人もいるのでおかしくはないはずだが、映画で見ると途端に不自然で嘘くさくなる。刑事だろうが、うだつの上がらないサラリーマンだろうが、犯罪者だろうが誰彼構わず、主人公なのだからと、とにかく髪型を作ってしまうからだろう。この傾向は、登場人物が特徴的な髪型をしがちな漫画の影響があるような気がする。そして皆、どこかコスプレのキャラクターぽくなる。

 

 主人公は持ち逃げされた金の行方を追うのだが、あまり必死さが感じられない。金に執着する様子もないので感情移入できず、ストーリーにも没頭できなかった。手がかりを得るために訪ねた友人の知り合いたちも、本題そっちのけで、なぜかお金とは何か?みたいな話を繰り広げて説教臭く、鬱陶しいだけだった。本題のついでにさりげなくだったらまだ理解できるが、そのことばかりなのでわざとらしい。

 

 映画の詳しい内容を知らずに見てしまったので、なんだお金の使い方を描く自己啓発映画なのか、と途中で気付いて鼻白んでしまった。アクション映画のつもりで純愛映画を見てしまったようなところがあるので自分にはアレだったが、お金の使い方を学びたい人には有用な映画のような気がしないでもないことはない。

関白宣言

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 それでも唯一学びがあったとすれば、金持ちはお金についての持論を語りたがる、ということだろうか。ただ個人的には、運ではなく実力だけで金持ちになったと思い込んでいる人の話なんて聞く価値はないと思ってしまうが。この映画の中で語られるお金についての話も心に響くものはなく、最後も落語と絡めてうまくイイ話風にしたつもりかもしれないが、全然そうは思えなかった。

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スタッフ/キャスト

監督/脚本 大友啓史

 

原作 億男 (文春文庫)

 

出演 佐藤健/高橋一生/黒木華/池田エライザ/沢尻エリカ/北村一輝

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音楽 佐藤直紀

 

億男

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億男 - Wikipedia

 

 

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