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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「冷たい雨に撃て、約束の銃弾を」 2009

冷たい雨に撃て、約束の銃弾を(字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 マカオに住む娘の一家が襲われ、一人生き残った娘を見舞いにやってきたフランス人の父親は、偶然知り合った三人の殺し屋に復讐の手助けを依頼する。

 

感想

 原題が「復仇」で英題が「Vengeance」とシンプルな事を知ると、このカッコつけた邦題に妙なこっ恥ずかしさを感じてしまうが、まあ「復讐」とか「仇討ち」とかの邦題だったら、かなり引きが弱いので仕方がないのかもしれない。

 

 主人公は、瀕死の重傷を負った娘を見舞った父親。今どき襟を立てたトレンチコートに中折れ帽で登場して、前時代的な雰囲気を漂わせているが、映画もアラン・ドロンが活躍していたその時代のようなハードボイルドな雰囲気。セリフも少なく、多くを語らない。そんな主人公を演じるジョニー・アリディは、つぶらな瞳が印象的だが、フランスでは大スターだったそうだ。2017年に亡くなっている。

 

 

 主人公と協力を依頼した三人の殺し屋たちも互いに多くは語らないが、彼らの間に友情や絆といったようなものが芽生え始める。彼らが情報を頼りに香港に行った途端、あっさりと犯人たちが見つかって、あっけなく物語終了かと驚いたが、ここからが長かった。ここからエンディングまでは彼らの美学を見せつけるために存在していたと言ってもいい。

 

 土砂降りだったり、妙に風が強くて木の葉や紙切れが舞ったりと、かっこ良く撮るための大げさとも言える演出が、彼らの美学を後押ししている。この辺りは観る人の好みが分かれるかもしれない。個人的にはここまで堂々とやられたら、あり、と言わざるを得ないといった所。

 

 実行犯だけではなく、彼らに指示を出した真の仇との戦いに、主人公が古傷のために記憶を失いつつあることがスパイスとなって、物語が進んでいく。緊迫感のある展開ではあるが、もうちょっと盛り上がりが欲しかったな、とは感じた。

 

スタッフ/キャスト

監督 ジョニー・トー

 

脚本 ワイ・カーファイ

 

出演 ジョニー・アリディ/シルヴィー・テステュー/アンソニー・ウォン/ラム・カートン/ラム・シュー/サイモン・ヤム/チョン・シウファイ/マギー・シュー/フェリックス・ウォン/ミシェル・イェ

 

冷たい雨に撃て、約束の銃弾を - Wikipedia

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