★★★☆☆
あらすじ
人の意識を移植する研究を行っていた科学者は、事故で死んでしまった家族を蘇らせようとする。
感想
キアヌ・リーブス演じる主人公の科学者は、休暇の旅行中に交通事故で家族を死なせてしまう。まずこの事故の描き方が酷かった。土砂降りの中、視界不良で前方が何も見えず、一度はトラックと正面衝突しそうになって肝を冷やしたのに、それでも主人公はそのまま運転を続けようとする。この神経がよく分からなかった。普通は雨がおさまるまで待つとか、スピードを緩めてより慎重な運転をするとかするはずだ。
そんな下手くそな運転で事故を起こし、なぜか一人だけ生き残ってしまった主人公。家族の記憶を抜き取り、そのクローンを作って移植しようとする。このあたりはマッド・サイエンティスト感があって良かったのだが、今一つ盛り上がりにかける展開でもあった。クローンが出来上がるまでの間に、家族の周囲の人間たちが不審に思ったり、警察がやってきたりと、一応はこういう時にありそうな出来事を一通り描いてはいるのだが、どれもあっさりとしていて浅い。もうちょっと踏み込んでドキドキさせて欲しかった。
そしてついにクローンに意識を移植することに成功し、家族との生活を取り戻した主人公。嬉しいのは分かるのだが、ホッとした後の倫理的な葛藤などを描いて欲しかった。家族の死をレプリカで補おうとするなんて、色々と考えさせられる事をしているのだから、映画にもっと深みが出てもいいはずなのだが、どうにも描写が軽い。不審に思った奥さんが主人公を問い詰めたらあっさりと白状してしまったのも軽い。主人公が奥さんには逆らえなくて、なんでも最終的には言う事を聞いてしまうのはちょっと面白いのだが。それに奥さんも、自分がレプリカだと知ったらアイデンティティがどうしたとかで悩みそうなものだが、あっさりと納得して受け入れてしまい、こちらも軽い。
その後は、運転が下手くそな主人公のカーアクションや、あっさり捕まるショボい逃亡劇といった申し訳程度のアクションが行われるのだが、これも特に盛り上がらない。全体的に何もかもが中途半端で、何を描きたかったのかがよく分からない内容だった。家族は蘇らせるのに、友人は蘇らせないの?といったツッコミどころも多い。最後もハッピーエンドみたいにしているが、それは本当にハッピーエンドなのだろうか?もっと深く考える必要があるのではないか?と問い詰めたくなる。
スタッフ/キャスト
監督 ジェフリー・ナックマノフ
製作/出演 キアヌ・リーヴス
出演 アリス・イヴ/トーマス・ミドルディッチ/ジョン・オーティス/エムジェイ・アンソニー/エミリー・アリン・リンド