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「ナイト・オブ・シャドー 魔法拳」 2019

ナイト・オブ・シャドー 魔法拳(字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 妖怪ハンターの男はある女の妖怪を捕えようとするが、彼女に思いを寄せる男に阻止されてしまう。中国映画。

 

感想

 全編にCGを多用した作品。中国映画は、妙に赤や金を多用する賑やか過ぎるCGが多くてあまり好みではないのだが、この映画の色使いはわりと落ち着いていて悪くない。クオリティもかなり高くてハリウッド映画と比べても遜色はなく、その映像を見るだけでもそれなりに楽しめる。

 

 ジャッキー・チェン演じる妖怪ハンターを間に挟みながら、人間から妖怪になった女と妖怪から人間になった男の悲恋が描かれる。しかし中国人は蛇の妖怪の悲恋が本当に好きだ。このパターンの映画を何度も見ているような気がする。元々この映画も清の時代の怪異小説「聊斎志異」の中の一編をモチーフにしているし、「白蛇伝」なんかもあるので、昔からこのタイプの話は中国人の心の琴線に触れる何かがあるのだろう。

 

 

 ただこの手の昔話や伝承は世界各地にあるものなので、文化が成熟していく過程でよく取り上げられる時期があるだけのことなのかもしれない。日本も昔話を題材にした小説や映画がよく作られていた時期があった。より成熟するにつれて新しい物語が生み出されるようになり、段々と昔話や伝承話は取り上げられることがなくなって、やがては忘れ去られていく印象がある。

 

 とはいえ、古かろうがベタだろうが良く出来ていれば感情移入して気持ちが動かされるものだが、この映画は設定が分かりづらくてうまく映画の世界に入り込めなかった。この話の根本である悲恋の二人がどうやって妖怪から人間に、人間から妖怪になったのか、そのシステムが上手く飲み込めない。何やら魂がどうのこうのと言っているのだがぜんぜんピンとこなかった。男が女を救おうとしているのは分かるのだが、女を人間に戻すために何をしようとしているのかは分からず、ただ眺めるだけになってしまった。もしかしたら中国人はそのシステムを説明されるまでもなく理解しているのかもしれないが。

 

 わずかではあるがジャッキー・チェンの椅子を使ったいつものアクションが見れたり、鏡を使った面白いアイデアの演出があったり、男が空中で佇む様子はドラゴンボールぽくてカッコ良かったりと随所に見るべきところはあるし、大まかには悪くなかったのだが、細かい部分に詰めの甘さを感じてしまう映画だった。

 

スタッフ/キャスト

監督    ヴァッシュ・ヤン

 

出演

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イーサン・ルアン/エレイン・チョン/リン・ボーホン/リン・ポン/パン・チャンジアン/キングダム・ユン

 

ナイト・オブ・シャドー 魔法拳 - Wikipedia

ナイト・オブ・シャドー 魔法拳 【字幕版】 | 映画 | 無料動画GYAO!

 

 

登場する作品

聊斎志異 (光文社古典新訳文庫)

 

 

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