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「最後の命」 2014

最後の命

★★★☆☆

 

あらすじ

 久しぶりに会った幼馴染の友人が、連続婦女暴行犯であることを知った大学生の男。

 

感想

 幼い頃に遭遇した事件によってトラウマを与えられてしまった幼馴染の二人。だが同じ現場にいながら二人が違う光景を見ていたというのは興味深い。主人公は被害者に、友人は加害者たちの側に立ち、感情移入してその事件を見ていた。こういうことは日常生活でもよくあって、思い出話で互いの言うことに食い違いがあったりするのもこれが原因だろう。

 

 後から考えると、映画にとって重要なこの事件のシーンが、それほどインパクトのあるものになっていなかったのが残念だ。確かに起きた事も酷いし、それを目撃してしまった幼い彼らにも大きな心の傷を残しただろうなという事は想像できるのだが、想像しなくても分かるような映像表現をして欲しかった。そうではなかったので、この事件が大きな意味を持っているということが明らかになった時には、え、そうなの?と思ってしまった。とはいえ、リアリティがありつつもあまり直接的でない映像表現をするというのはかなり難しそうではあるのだが、それこそ監督の手腕の見せ所だろう。

 

 

 大学生になった主人公は、久しぶりに再会した友人から心の傷を抱えている事、そしてそれによって起こしてしまった事件について打ち明けられるのだが、すべてをセリフで説明しようとし過ぎ。この友人があまりにも饒舌なものだから、悩んでいるのではなくて、そんな自分に酔っているだけなのでは?と疑念が湧いてしまった。そうだとしたらまた話は変わってくるわけだが。

 

 それから、主人公の恋人が心を病んだ理由もよく分からなかった。だれにでも起こり得る話なので、それが彼女に起きただけという事なのだろうが、映画なんだからもうちょっとちゃんときっかけとか理由を描いて欲しかった。この映画では、登場人物たちのバックグラウンドがほとんど描かれていない。

 

 主人公はあまりしゃべらない無口な男なのだが、演じる柳楽優弥が視線だけでちゃんと感情が伝わってくるような自然な演技で良かった。黙っていてもちゃんと場が持つ存在感がある。

 

 友人が、自分の抱える問題はあの事件のせいではないのかも、と述懐していたが、確かにその性向は元々のものかもしれないが、それが表面化したのは間違いなくあの事件があったからだろう。そんな事件に遭遇したかどうかでその後が左右されてしまうわけだから、人生なんて本当に運みたいなものだよな、としみじみ考えさせられた。何がきっかけでどう変わるかなんて分からない。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 松本准平

 

原作 最後の命 (講談社文庫)

 

出演 柳楽優弥/矢野聖人/比留川游/内田慈/池端レイナ/りりィ/滝藤賢一/中嶋しゅう

 

音楽 小瀬村晶

 

最後の命

最後の命

  • 発売日: 2015/06/13
  • メディア: Prime Video
 

最後の命 - Wikipedia

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