★★★★☆
あらすじ
ライバル校出身で今はヤクザの男と手を組み、学校のトップを取ろうとする新入生の男と、それを阻止しようとする転校生の男。「クローズ」シリーズ第3作。
感想
前作までの中心メンバーたちが卒業してしまった後の学校の様子が描かれる。中心となるのは孤児院出身で、問題を起こして他校から転校してきた主人公と、死んだやくざの息子で今は組長のもとで暮らす新入生の男だ。どちらも群れず、トップを取る事にも興味のなかった男たちだが、やがて仲間が出来て、様々な事情が絡んでナンバーワンを争うことになっていく。
そのさまざまな事情を作り出すのが、ライバル校でのトップ争いで卑怯な手を使って少年院送りになり、そのまま戻らず新入生が暮らす組のヤクザになった永山絢斗演じる男だ。出身校と主人公らの高校の全面戦争を画策したり、新入生をけしかけてトップを取らせようとする。とにかくギラギラしており、手段を選ばずバチバチにやり合う気満々なのがいい。
前作は爽やか過ぎてただのスポーツのようにすら見えてしまうと時もあったが、今回は彼のおかげでちゃんとドロドロしたものが渦巻く人間味のあるものになっている。そしてそれがたくさんの因縁を生んだことで、登場人物たちのそれぞれの戦いが盛り上がった。やはり人間のカルマが見えると物語は面白くなる。
役者陣たちの中では、学校で喧嘩のトップだった男を演じる柳楽優弥が良かった。異常に強い目力と特異な風貌で存在感を放ち、得体の知れなさが半端なかった。ただ、役どころ的には損な役回りばかりで、大して活躍しなかったのが残念だ。冷静に見ると、最初は強気に行くも最終的にはやられてしまうことが多く、なんだかダサくすらあった。
ヤクザが高校同士の抗争を起こして何のメリットがあるのだ?とか、それと地上げしようとしていた中古車屋の土地と何の関係があるのだ?とか、いまいちピンとこない部分も多かったし、結局主人公らはヤクザの思惑に踊らされただけでは?という気がしないでもないが、雨降って地固まるで、みんな仲良くなったのだからまあいいかと思える作品だった。エンタメ作品として楽しめた。
スタッフ/キャスト
監督 豊田利晃
脚本 向井康介/水島力也/長谷川隆
出演 東出昌大/早乙女太一/勝地涼/KENZO/矢本悠馬/奥野瑛太/遠藤雄弥/柿澤勇人/栁俊太郎/深水元基/やべきょうすけ/高橋努/浅見れいな/高岡早紀/板尾創路/ELLY/岩田剛典/永山絢斗/柳楽優弥/広瀬すず
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