「セックス調査団」　2001

★☆☆☆☆

あらすじ

　性に関する探究をするために集まった人々。

感想

　あまり前情報なしに観始めたのだが、映画的雰囲気のある映像と、見た事ある役者が多く出ていて意外と豪華なメンバーだという事に、いきなりぐっと期待は高まった。でもそれがマックスだった。

　そもそもちゃんとした調査・研究をすると思っていたのに、ただ討論するだけというのがよく分からない。全然学術的ではない。その他にもなぜこのメンバーが集められたのか分からないし、各メンバーがどういう人物でどういう関係なのかも分からないし、何を目指して討論しているのかも分からないしで、やっている事の前提となることが分からないことだらけ。という事は話が進むにつれて次第に詳細が明らかにされていくパターンなのかと思ったのだがそんな事は全くなく、どんどんと話は先に進むだけ。逆に新たな疑問がどんどんと増えていくだけだった。

　映画は討論シーンが中心の、舞台の会話劇のような内容。語り合ううちに皆の心に変化が訪れていく、という展開なのだが、会話のテンポが早すぎてあまり頭に入ってこない。一旦立ち止まって、それまでの諸々の疑問も含めて頭の中を整理したい感じだがそれは許してくれず、さらに急かすようにどんどんと畳みかけてくる。全然心が落ち着かない。それからこれは一応エロティックコメディということで、ここで笑わせようとしているなというシーンはなんとなく分かるのだが、間が悪すぎて絶望的に笑えない。何をそんなに焦っているのだと思うほど、間を埋めてくる。

　分からないことだらけだし急ピッチで話は進むしで、置いてけぼりにされた気分で一杯となり、観ているこちらの心がゆっくりと死んでいく。最後は無の境地だった。終わった瞬間はあまりにも面白くなかった事に思わず笑ってしまった。後で調べたら、原作はシュルレアリストの作家によるものだった。せめてこのあたりの、少し変わった人たちによる取り組みですよ、というような前提知識はちゃんと映画の中で紹介して欲しかった。それだけでも少し見方は変わったかもしれない。

アンドレ・ブルトン - Wikipedia