「読書で離婚を考えた。」　2017

★★★★☆

内容

　夫婦で交互に課題図書を指定して、その読書感想を綴るエッセイ。

感想

　お互いに本を勧め合い、仲良しな感じで進められていくのかと思ったら、タイトル通り不穏な空気が漂っていて、読んでいてドキドキしてしまった。途中で円城塔が実家に帰っていると言う話が出てくるが、ついに別居かとハラハラした。

　二人の間に生じている不穏な空気の原因は何かと考えると、いろいろと理由はありそうだ。お互いの理解を深めるためという名目で始めたのに、そもそもお互いを理解していなかったということに気付かされた事。

　この本を読んだら相手はこんな反応をするだろうという予想が全然当たらないことや、どんな意図で相手はこの本を自分に勧めているんだろうと怪訝に思う気持ちなど、次第に相手が何を考えているか分からなくなっていく。これは、それまで大体分かっているつもりでいただけに、余計に不安は増しそうである。案外、人間は相手のことを自分に都合よく解釈しているだけなのかもしれない。

　一人ずつで夫婦のことを第三者に語る、という形になっているのも原因なのかもしれない。第三者が相手となるとよそ行きの顔になるし、一人ずつ語ることで相手の言うことを否定したくても即座にはできず、話し終わるまでじっと聞くしかない。二人で来客に夫婦のことを話しているのではなく、一人が席を外しているときにもう一人が来客に夫婦のことを話している感じ。自分のことを他人に語る相手を見て、こんな風に思っていたのか、と内心で驚いている。セルフイメージとの相違もあるはずだ。

　結局、あなたはこういう人だよね、というのを突き詰めないほうがいいのかもしれない。ましてや一つずつ証拠を残すように記録していくのはやめたほうがいい、というのはわかった。ふんわりぼんやりとした感じで相手を理解していればいい。

　二人の関係ばかりに目が行きがちではあるが、彼らの読書の幅の広さや内容に対しての感想なども興味深いものがあった。

日本のQCはなぜか、みんなで旅行するとか、体操をするとか、体験を打ち明けあうとか、仲間意識を高めていこう系に突っ走りがちですが、そういうものはえてしてホラーっぽい展開につながるもんです。

p117　「生活の品質を管理する」円城塔

QC・・・クオリティ・コントロール。品質管理

　特に円城塔は、きっと自分が同じ本を読んでもこんな感想は出てこないのだろうな、という事ばかり書いているような気がする。同じ本を読んでも引っかかるところが違う。

内容

感想

著者

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