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「スパイ・ミッション シリアの陰謀」 2018

スパイ・ミッション シリアの陰謀(字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 シリアに潜入するもまったく計画通りに進まない任務に、疑念が生じはじめたイスラエル諜報機関(モサド)のスパイ。原題は「Damascus Cover」。イギリス映画。93分。

 

感想

 タイトルや90分という短い上映時間から、気楽に見られるスパイアクション映画かなと勝手に想像していたのだが、実際はシリアスな展開を見せるサスペンス映画だった。序盤を軽く流す感じで見ていたら、この手のスパイ映画にありがちな少し入り組んだ設定が把握しきれず、途中からストーリーを見失ってあまりよく分からなくなってしまった。慌てて見終わった後に再度ざっと見直したことで、なんとか物語を把握できた。

 

 これはもちろん集中して見ていなかった自分が悪いのだが、それでもやっぱり描き方にも問題があるように思える。序盤に今回の任務のあらましが説明されるのだが、ここで内容を完全に覚えることが出来なかったら、物語のどこかで話に付いていけなくなって脱落することが決まっているような構造の映画となっている。主人公は単独で行動するので、「計画ではこの次にあれをするんだったな」とか「こういう時はこうすることになってたな」とかブツブツと呟いたりするのはさすがに不自然だと思うが、もうちょっと何か状況が分かる工夫をして欲しかった。敢えて説明的なセリフやシーンを極力省略しているのだとは思うが、これでは観客までもがスパイとしての高い能力を求められることとなってしまう。

 

 

 それから、主人公は任務中にたまたま再会した女性と関係を持つようになるのだが、命の危険に常にさらされている状況なのにずいぶんと余裕だなと呆れてしまった。それが任務に役立つこともあるのかもしれないが、今回はどう考えてもメリットがあるようには思えない状況だった。だから彼はジェームズ・ボンドのような完璧でスーパーなスパイなのかなと思っていたのだが、その後の仕事ぶりは情に流されまくりで全く優秀とは言い難い。人間味が感じられないほどの冷酷すぎる仕事ぶりではリアリティがないが、だからと言ってここまで情にもろ過ぎてもまた嘘っぽく感じてしまう。割り切れずにオロオロし、仕事を放棄までしてみせる終盤の主人公の姿は、まったくもってスパイらしさがなかった。

 

 主人公はエンディングで、イスラエルとシリア、両国の意外な思惑に踊らされていた事を知る。彼らの言い分には、一旦はなるほどと納得してしまったのだが、後から段々と、でもそれは本当に良い事なのだろうか?と疑念が生じてきた。これはつまり「トムとジェリー」のように仲良く喧嘩し続けるという事で、こんな奇妙な共存の仕方しかできないなんて、いくら何でも切なすぎるだろう、と悲しくなってしまった。解決の難しい問題だ。

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スタッフ/キャスト

監督/脚本 ダニエル・ゼリック・バーク

 

原作 ダマスカスへ来たスパイ (1981年)



出演 ジョナサン・リース=マイヤーズ/オリヴィア・サールビー/ジョン・ハート/ナヴィド・ネガーバン/ユルゲン・プロフノウ/ヴォルフ・カーラー

 

スパイ・ミッション シリアの陰謀(字幕版)

スパイ・ミッション シリアの陰謀 - Wikipedia

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