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「探偵ミタライの事件簿 星籠の海」 2016

探偵ミタライの事件簿 星籠の海

★★★★☆

 

あらすじ

 死人が流れてくる島の話に興味を持ち、女性編集者と共に現地に向かった探偵は、他の事件との関連性に気づく。タイトルの「星籠の海」の読みは「せいろのうみ」。

 

感想

 主人公のちゃんとした紹介もないままに、続編のようにどんどんと話が進んでいくので、これは連続ドラマの劇場版なのかと思ったのだが、主演が同じの単発ドラマが一本あっただけで、連続ドラマだったわけではないようだ。それでもみなさんご存知といった感じで始まったのは、小説・御手洗潔シリーズの知名度に頼ってのことなのだろう。この一連の小説をを知っている人なら大丈夫なのだろうが、知らないと最初は少し戸惑ってしまう。

 

 天才的な探偵能力を持つ主人公・御手洗潔が、ある事件を調べに瀬戸内海に向かったところ、そこで起きていたいくつかの事件との関連性に気づいて、その全体像を明らかにしていく物語。こういう名探偵ものにありがちな、主人公が一人でうんうんと肯きながらどんどんと捜査を進めていく展開だ。観客は、何も説明されない他の登場人物たちと同様に、頭にクエスチョンマークを浮かべながらただ主人公についていくだけなのだが、それでも少しずつ点と点がつながっていく展開にぐいぐいと惹きつけられる。

 

 

 それからあまり本題とは関係ないが、広島県福山市が舞台となっていて、時々さりげなく映り込む福山城がカッコ良かった。

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 この映画は置き去りにされそうなくらいテンポよく物語が進んでいくので、観ている最中はそこまで気にならないが、後からじわじわと気になってくることが多い。まず何よりも赤ちゃんの死因が衝撃的だった。ここから様々な偶然が重なり事件が大きくなっていくので、この次に起きたことにすぐに皆の関心が移ってしまうのだが、いやいやそれはそんなに軽く流していい事ではないだろうと言いたくなる。一旦、立ち止まってそれについてよく考えようよと。

 

 それ以外にも、正当防衛とはいえ暴漢を突き落とした女性が、その直後にはケロッとした顔をして普通に行動をしていてなんだか怖かった。意図的でなかったのなら罪悪感なんて感じる必要がないとでも言わんばかりの態度で、この映画はそういう世界観なのかと疑いたくなった。意図的に犯行を行なった人物に、あまり憎悪や後悔の感情が見られなかったのも気になった。

 

 ラストは、タイトルにもある星籠の謎が明らかになるのだが、正直、これはあまり本編と関係ないのでは?と思ってしまった。元々、この星籠について調査に来たのなら分かるが、そういうわけでもなく話の途中で出てきたトピックの一つでしかない。それにクライマックスで、巨大なタンカー船に対してあんなことをする必然性も全くなかった。これに関しては、物語のスケールを大きくしたいがための「ロマン」という事なのかもしれない。

 

 色々言い出したらキリがないが、エンタメ作品としては悪くない映画だった。

 

スタッフ/キャスト

監督 和泉聖治

 

脚本 中西健二/長谷川康夫

 

原作 星籠の海(上) (講談社文庫)


出演 玉木宏/広瀬アリス/石田ひかり/要潤/谷村美月/小倉久寛/吉田栄作/寺脇康文/品川徹/片桐竜次/螢雪次朗

 

音楽 岩代太郎

 

御手洗潔シリーズ - Wikipedia

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