★★★☆☆
あらすじ
家族や同僚とも距離を取る女は、胴体部分だけの男性像(トルソー)を愛でて暮らしていたが、種違いの妹が強引に居候を始めたことにより、生活が乱されるようになる。
渡辺真起子、安藤サクラ、ARATA(井浦新)ら出演。104分。
感想
男性のトルソーを恋人のように扱って暮らす女が主人公だ。ダッチワイフを偏愛する男の話なら昔からよくあるし、今ならアニメのキャラやぬいぐるみと出かけるのも市民権を得てきた感もあるので、そこまで奇異なことではないのかもしれない。
ただそれでもわざわざレンタカーを借りて海に行き、素っ裸でトルソーと戯れる様子には異様なものがあった。
異常さが表れた良いシーンだが、真夏に誰もいない砂浜なんて東京近郊にあるわけがないので、誰かに見られてしまうのではと勝手にドキドキしてしまった。しかも当人は全く周囲を気にする様子はなく、見ている方としてはそれが気になって仕方がない。おかげでせっかくのシーンの主旨がブレてしまったような気がする。
そんな自分だけの世界で生きてきた主人公だったが、妹が無理やり転がり込んできたことによって生活を乱されるようになる。ここからは種違いで性格も違う妹に対する複雑な思いが描かれるようになる。無邪気なようで相手の弱みを突く性格の悪さを窺わせる妹を演じる安藤サクラが良い仕事をしている。
妹との同居生活が始まったことにより、トルソーの出番はめっきりと減ってしまう。あんなに依存していたのだから、戯れることが出来なくなってイライラしたり、おかしな行動に出たりと、不在でもトルソーの存在感を示してほしかった。ないなら無いでやっていけるということなのかもしれないが、あまりにもあっさりとしている。
主人公は、妹とのやりとりや間近で見た彼女の決断を通して、心境に変化が生まれた。距離を取っていた世間と積極的に関わろうとするようになった。
言わんとすることは分かるが、トルソーに対する禁断症状みたいなものは描かれないので、その程度の話だったのかと思ってしまった。トルソー自体をしっかりと捉えた映像も無いので、シンボル的な意味合いで軽い気持ちで登場させただけなのかもしれない。途中で「それ、そんな構造になっていたの?」と驚くシーンもあった。
悪くはないが、序盤の海水浴がピークの映画だった。
スタッフ/キャスト
監督/脚本/撮影 山崎裕
脚本 佐藤有記
出演 渡辺真起子/安藤サクラ/蒼井そら/ARATA/石橋蓮司/山口美也子

