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「トレインスポッティング」 1996

トレインスポッティング(字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 舞台はスコットランド・エディンバラ。仲間と共にドラッグにまみれた生活を送る若者の姿を描く。イギリス映画。94分。

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感想

 2回目の鑑賞。ドラッグと切っても切れない生活を送る若者が主人公だ。

 

人生を選べ、キャリアを選べ、家族を、テレビを、洗濯機を、車を、CDプレイヤーを選べ、電動缶切り機を選べ、自己中心のガキになることほどみっともないことはない、未来を選べ・・・。だけど、それがいったい何なんだ。

 

 世間は色々言うが、ろくでもない世の中で頑張ったところでいったいに何になるのだと、クスリ漬けの日々を送っている。だが心のどこかではこんなことではいけないと自覚している。そして時おりクスリを断ってはみるものの、しばらくすると再びクスリに手を出してしまう繰り返しだ。クスリでなくても、タバコやギャンブルの中毒者ならその気持ちがよく分かりそうだ。

 

 主人公と友人たちのクスリ漬けで最低な日々が、コミカルさを交えつつ描かれていく。トイレや脱糞など尾籠で汚い話が多くてそれはちょっとしんどかったが、シニカルで笑えた。クスリがキマって床に沈み込んだようになるシーンや、禁断症状に苦しみ悪夢にうなされるシーンなど、映像表現も面白い。主演のユアン・マクレガーのへそ出しのぴっちりTシャツ姿は今見るときついが、それをのぞけば登場人物らのファッションもスタイリッシュだ。

 

 

 そしてなんと言っても音楽が良い。映像ともよく合っているし、中毒者の気分を追体験している感覚にもなる。映像に一定のリズムを生み出して、物語の推進力ともなっている。当時、サウンドトラックが話題になったのもうなずける。このサントラをよく聞いていたので、2回目の鑑賞となる今回は、楽曲がどこでどう使われているのか意識的に見ることが出来て、めちゃくちゃ効いていることがとても良く実感できた。

 

 主人公はどん底まで落ちるが、一念発起して完全に薬を断つ。そしてロンドンに出て真面目に働き始める。あんなに酷かったのにそこまで立ち直れるものかと驚き、それなら最初からそうすればよかったのにと思わなくもなかった。

 

 まともな生活を送り始めた主人公だが、スコットランド時代の友人たちに足を引っ張られてしまう。友人とはありがたいものだが、新しいことを始めようとする時には足かせになることもあるから厄介だ。決別しなければならない時もある。

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 主人公がその決断をしたのは、ドラッグ中毒ではなく喧嘩中毒の友人がきっかけだったのには皮肉を感じた。悪いのはドラッグではないとでも言っているようだった。

 

 人生には「最高」と「最低」の2種類しかないわけではない。その間にいくつもの段階がグラデーション状にある。「最高」でないから「最低」だと諦めるのではなく、目の前の選択肢の中から最良のものを一つずつ選びながら、少しずつ地道に「最高」の人生へと近づいていくべきだろう。

 

 ばっちりとラストが決まり、いい余韻に浸れる映画だった。2回目の方がより楽しめたような気がする。

 

スタッフ/キャスト

監督 ダニー・ボイル

 

原作 トレインスポッティング〔新版〕 (ハヤカワ文庫NV)

 

出演

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ケリー・マクドナルド/ユエン・ブレムナー/ロバート・カーライル/ジョニー・リー・ミラー/ケヴィン・マクキッド/ピーター・マラン/アーヴィン・ウェルシュ/シャーリー・ヘンダーソン/ジェームズ・コスモ

 

トレインスポッティング - Wikipedia

 

 

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