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「別れる前にしておくべき10のこと」 2019

別れる前にしておくべき10のこと(字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 二人の子供を持つシングルマザーの女は、酒の勢いで知り合ったばかりの男と関係を持つが、その後妊娠していることに気付く。

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感想

 一夜限りの関係のつもりが妊娠してしまった子持ちの女が主人公だ。それを伝えるために男と再び会ったことから二人の付き合いが始まる。そもそも妊娠するようなやり方をするなよという話だが、ありえないことではない。

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 当然男は戸惑うのだが、今後どうするかは様子見することにして、二人は関係を続けてみることにする。時間と共にお互いを少しずつ知るようになり、男は主人公の子供たちとも良好な関係を築き始める。男が主人公親子に溶け込んでいく様子は、恋愛ものというよりは家族ものといった趣があって、微笑ましかった。特殊な始まり方をした二人ではあったが、結局最後は丸くおさまるのかと期待させられた。

 

 だが、主人公が子供を産むことにし、男と共に育てていこうと決意した後に、二人の関係に綻びが生じ始めてしまう。原因は、始まりが始まりだけに二人が互いのことをまだよく理解していなかったから、ということなのだが、正直なところ納得できなかった。まだそれほど長い期間でなかったとはいえ、二人は一緒に暮らすようになっていたわけだから、そこらの別々に暮らしているカップルよりはよほど互いのことを分かるようになっていたはずだ。

 

 

 だったら逆にどれくらいの期間付きあえば、お互いを深く理解し合えていると判定できるのだ?と疑問に感じてしまった。長年連れ添った夫婦だって、相手を完ぺきに理解することなど出来ないはずだ。

 

 その後は、男の最低なクズぶりが際立っていく。土壇場でひどいなと、憤りを感じなくもないのだが、よく考えれば男は最初から自分の駄目っぷりをさらけ出していた。それをちゃんと自覚して、包み隠さず正直に、主人公に告白してさえいた。だから、ある意味では誠実だったと言えるかもしれない。偽りの姿を見せておきながら、最後に本心をぶちまけられるよりよほどいい。

 

 二人で決めた「別れる前にしておくべき10のこと」を全て叶えられたのだから満足すべきだとも、それを順番通りにやるべきだったとも、どちらにも取れそうなやるせないラストとなった。あるいは男がリスクを負わずに貴重な体験ができたというだけの話なのかもしれない。

 

 個人的には、別れを予感させるタイトルでありながらその別れは何十年も幸せに暮らした後の、どちらかが天寿を全うした時でした、という予想を裏切る結末であって欲しかった。いくらなんでもそれはロマンチック過ぎか。釈然としない気持ちになる映画だった。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/製作 ガルト・ニーダーホッファー

 

出演 クリスティーナ・リッチ/ハミッシュ・リンクレイター/リンジー・ブロード/カティア・ウィンター/ジョン・エイブラハムズ/スコット・アツィット

 

 

 

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