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「私をくいとめて」 2020

私をくいとめて

★★★★☆

 

あらすじ

 「A」と名付けた自分の内なる声と対話しながら日々を暮らしていた30代の女性が、ある日恋をする。133分。

 

感想

 友人も恋人もなく、内なる声と話すことでおひとり様を満喫していた女性が主人公だ。自分自身と会話をするのは孤独と上手く付き合うためだが、そんな芸当が出来てしまうから孤独な生活に陥ってしまうとも言える。自分を客観的に見つめてしまう人にとって、とかくこの世は生きづらい。

 

 そんな女性を演じる主演ののんが良かった。さすがに「あまちゃん」の頃の、少女のような可憐さはないが、相変わらずの良い表情、良い演技を見せておりみずみずしい。脳内の「A」と会話する一人芝居がほとんどでも、魅力的な演技で全然飽きさせない。

 

 この映画には橋本愛も出ていて、のんと「あまちゃん」以来の共演を果たしている。内容とは関係なく、二人が再び同じ画面に映っていること自体に自然とテンションが上がってしまった。しかもその舞台がイタリアなのがいい。特別感がある。

 

 それからこれまた内容とは関係ないが、景気のよろしくない日本の実写映画で、海外ロケをやっていることに驚いてしまった。ストーリーにイタリア行きの話が出てきても、どうせ現地ロケは行わず、行ってきた体で日本のシーンだけでやりくりするのだろうと思い込んでいた。昔は意味なく海外ロケする邦画が多かったような気がするが、時代は大きく変わってしまった。

 

 おひとり様で気ままに生きていく気がしていた主人公だったが、ある男性に恋をしてしまったことから、彼女の心は大きく揺れる。孤独に慣れることは大事だが、慣れきってそこに安住してしまうと、まともな社会生活を送れなくなる。逆に他人に依存してばかりもダメで、そのあたりのバランスを上手く取っていかなくてはならない。

 

 

 他人との関係を築いていく上での彼女の心の葛藤がリアルに描かれて、特に終盤は見ているだけで苦しくなるような重苦しさがあった。しかも2時間以上もあるのでかなり精神をえぐられて辛かった。語り口や描き方は悪くなかったので、2時間以内に収めてくれたらもっと良くなったような気がする。

 

 最後はハッピーエンドを迎えるが、主人公がおひとり様だった時から基本的にはポジティブな内なる声を持っていたのが良かったのだろう。これがネガティブな対話だったら、きっと何も始まってすらいなかった。どんな時だろうと前向きな姿勢でいることは大事だ。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 大九明子

 

原作 私をくいとめて (朝日文庫)

 

出演 のん/林遣都/臼田あさ美/若林拓也/前野朋哉/山田真歩/(声)中村倫也/片桐はいり/橋本愛/岡野陽一/吉住

 

私をくいとめて - Wikipedia

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