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「坂の上の雲」 1969

坂の上の雲〈1〉 (文春文庫)

 

著者 司馬遼太郎

 

 この小説を読んで一番イメージが変わったのは乃木希典日露戦争の英雄としてではなく戦争の下手な指揮官として描かれている。人格的には出来た人だったようだが。攻めあぐね多数の戦死者を出していた旅順攻撃が満州軍参謀の児玉源太郎の指揮であっさりと陥落できたり。

 

 ビジネスマンの必読書と言われる事もあるこの小説は確かに組織やリーダーシップを学ぶ上でかなり参考になる。いい例や悪い例が多数現れて、もし自分がその立場にいたらどのように振舞うだろうかと考えさせられる。

 

 日露戦争の海軍の英雄である東郷平八郎は周りの人間でさえ優れた人物なのかそうでないのか分からなかったという。それぐらい何もしないで部下にすべてを任せた。陸軍総司令官の大山巌もそうだがトップに立つ人間が部下を信頼してどっしりとしているというのは組織にとって重要な事ではないかと思う。ロシア・バルチック艦隊の司令長官ロジェストヴェンスキーもそうだったが何でもいえる立場にいるとつい色んなことを言いたくなってしまう。しかし、それが組織の歯車を狂わす。ある目的のための組織がトップの人間のための組織になってしまう。

 

 国の存亡をかけた日露戦争はぎりぎりのところで日本が勝利した。戦前でさえ勝つのは困難と冷静に状況判断が出来ていた日本は国民も含めて日本は強い、負けるわけがない、と錯覚してしまった。それがその後の戦争につながっていってしまったのだろう。

 

 勝利の余韻に浸って自らの力を過信することなく、冷静な分析と状況判断で次の戦略を考える、これもビジネスマンにとって参考になる教訓である。

 

 

坂の上の雲〈1〉 (文春文庫)

坂の上の雲〈1〉 (文春文庫)

 

 

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