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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「はじめて読む聖書」 2014

 

はじめて読む聖書(新潮新書)

★★★★☆

 

内容

 どのように聖書と接してきたのか、 作家や批評家、聖書学者などが語る。

 

感想

 それぞれが語る内容がどれも興味深く面白かった。聖書をただの宗教書としてだけ見るのはもったいない。世界最大のベストセラーであり、2千年近く読み継がれているのは単なる宗教書だからではなく、その内容に人を惹きつけるものがあるからだ。

 

田川 旧約聖書の時代には、神の像を刻んで拝んではならない、と言っていた。このことを拡張して考えると、単に彫刻をつくることだけじゃなくて、自分の頭の中に神の像をつくり、神という理念をつくり、その神によってすべてを説明する、というようなことになってはならない、ということじゃないでしょうか。

p110 「Ⅴ 神を信じないクリスチャン」 田川健三

 

 なかでも印象的だったのは5章の新約聖書学者、田川健三のインタビュー。神を信じるのであれば、神を想像する事すら間違っている、というのはすごい。それ以外にも、神は自らがいちいち手を差し伸べなくてもいいように人間をつくったはずだから、神様なしで上手くやれてこそ、神の存在を証明することになる、とか、すごい解釈だ。

 

 つまり神を求めてばかりいるようでは、本当の信者ではないということか。もはや神様は必要なのか?というレベルだが、こんなことを言い出す信者は教会は扱いづらいだろうなと同情してしまう。彼らにしてみれば、無邪気に神様を求めてくれた方がやりやすいだろう。

 

 

 それから、橋本治や池澤夏樹は聖書をちゃんと読んでないと断りながらも、それでも面白い話を展開していてさすがだ。ただし彼らのような人の言う「ちゃんと読んでいない」は、「じっくり読み込んでいない」だけで、「ほぼ読んでいる」ということだから気を付けないといけない。

 

 SNSなどでは彼らのような人の謙遜を真に受けて、レベル2ぐらいの人がマウントを取りにいく地獄が割とよく見られて、インターネッツはすごいなと思ってしまうのだが、知識が増えるほど人は謙虚になっていく現象は覚えておいた方がいいだろう。あの人ですら詳しくないと言っているのだから、自分も知らなくてもいいかなと判断してしまうのは軽率かもしれない。逆にやたら断定調で話す人のうさん臭さにも気づくかもしれない。

 

 様々な人の話を読んでいて、自分が聖書に関心があるのは、池澤夏樹のように小説や映画で使われている聖書のモチーフを理解したいからなんだよなと再確認した。ご存じないんですか?映画のあのシーンは聖書のあの部分を引用しているんですよ、とか言いたい。ちゃんと相手のレベルを確認した上で。

 

著者

山形孝夫/池澤夏樹/秋吉輝雄/内田樹/田川健三/山我哲雄/橋本治/吉本隆明/山本貴光

 

はじめて読む聖書(新潮新書)

はじめて読む聖書(新潮新書)

 

 

 

登場する作品

ぼくたちが聖書について知りたかったこと (小学館文庫)

バビロンに行きて歌え (新潮文庫)

日本文法大辞典

「カール・ギュツラフ略伝と日本語聖書」 秋山憲兄

イーリアス

古事記 (岩波文庫)

ジーザス・クライスト=スーパースター (2000) (字幕版)

バッハ:目覚めよと呼ぶ声あり(目覚めよ、とわれらに呼ばわる物見らの声)」

神学部とは何か (シリーズ神学への船出)

ヤコブ物語 ヨゼフとその兄弟たち 1

岩波文庫 クォ ヴァディス 上・中・下巻の3冊

草の花 (新潮文庫)

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愛する時と死する時〈上巻〉 (1958年) (新潮文庫)

「燃える棘」 石川淳

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アブサロム、アブサロム!(上) (岩波文庫)

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ビラヴド (集英社文庫)

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日曜日だけの一カ月 (新潮・現代世界の文学)

走れウサギ (上) (白水Uブックス (64))

情事の終り (新潮文庫)

ブライヅヘッドふたたび (ちくま文庫)

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オデュッセイア(上)

古代文化の光―ユダヤ教とクリスト教の考古学的背景 (1961年)

困難な自由 (叢書・ウニベルシタス)

ブルトマン著作集〈1〉共観福音書伝承史 (1983年)

使徒行伝と歴史 (現代神学双書)

新約聖書 訳と註 1 マルコ福音書/マタイ福音書

批判的主体の形成[増補改訂版] (洋泉社MC新書)

キリスト教思想への招待

イエスという男 第二版 増補改訂

書物としての新約聖書

平家物語 (岩波文庫 全4冊セット)

校訂延慶本平家物語〈1〉

完訳源平盛衰記―完訳 (1) (現代語で読む歴史文学)

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窯変源氏物語 全14巻セット

桃尻語訳 枕草子〈上〉 (河出文庫)

マルクス 資本論 全9冊 (岩波文庫)

精神分析入門(上) (新潮文庫)

忍法破倭兵状 忍法帖 (角川文庫)」所収 「忍法天草灘」

「女大学」

和本,和俗童子訓1巻(全3冊5巻) (長野電波技術研究所)

若きウェルテルの悩み (岩波文庫)

芸術的抵抗と挫折 (こぶし文庫 52 戦後日本思想の原点)

マチウ書試論・転向論 (講談社文芸文庫)

旧約聖書外典(上) (講談社文芸文庫)

新約聖書外典 (講談社文芸文庫)

ユダの福音書を追え

ナグ・ハマディ文書〈1〉救済神話

死海文書―テキストの翻訳と解説 (1963年)

ナグ・ハマディ写本―初期キリスト教の正統と異端

死海写本の謎を解く

中世思想原典集成 精選1 ギリシア教父・ビザンティン思想 (平凡社ライブラリー0874)

ユダヤ哲学―聖書時代からフランツ・ローゼンツヴァイクに至る

聖書は誰のものか?―聖書とその解釈の歴史

美術で読み解く 旧約聖書の真実 (ちくま学芸文庫)

美術で読み解く 新約聖書の真実 (ちくま学芸文庫)

黄金伝説 1 (平凡社ライブラリー)

詩篇の音楽 旧約聖書から生まれた音楽 寺本まり子/著

Jerusalem

キリスト教音楽の歴史―初代教会からJ.S.バッハまで

日本の聖書―聖書和訳の歴史 (講談社学術文庫)

God Is Back: How the Global Revival of Faith Is Changing the World (English Edition)

ユダヤ古代誌1 (ちくま学芸文庫)

GOD―神の伝記

聖書の謎百科

原典 ユダの福音書

発掘された聖書―最新の考古学が明かす聖書の真実

聖書の日本語 翻訳の歴史 (岩波オンデマンドブックス)

死海写本―発見と論争1947‐1969

捏造された聖書

アジモフ博士の聖書を科学する (1983年)

聖書時代史―旧約篇 (岩波現代文庫)

聖書時代史 新約篇 (岩波現代文庫)

私の旧約聖書 (中公文庫)

私の聖書

死海のほとり (新潮文庫)

私にとって聖書とは

ヨブへの答え

歯車・至福千年 (講談社文芸文庫)

日本の名随筆 (別巻100) 聖書

 

 

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