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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「サウスバウンド」 2005

サウスバウンド (講談社文庫)

 

感想

 今どき元全共闘の父親のお話なんてと思ったが、すごく魅力的で面白かった。

 

 この父親の魅力は何だろうと考えてみると、あらゆることに疑問を持ち、その全てに自分なりの答えを持っているというところなのではないだろうか。だから迷いがない。世間にも時折、迷い無く物事を進めていく人間を見かけるが、彼らはそのやり方を選んだのではなく、それ以外の方法を知らないだけなのではないのか?と思わせるような底の浅さを感じさせる。それはそうする事に決まっている、だからそうするだけというように。

 

 

 これは多かれ少なかれ誰にでもあることで、意味があるのかわからない道路を作るために使われたり、公務員の天下り先を潤すために使われたりと、たくさん無駄遣いされているのも知りながら、それでもおとなしく税金を納めていることだってそうだ。

 

 それを、何で税金を納めないといけないのか?と疑問に思い、それは国民の義務だからと分かったら、じゃあ国民であることをやめる、もともと国民になった覚えはないし、と言っちゃうのはなんとも気持ちがいい。現実には通らないが。だがそこまで考える人なら何らかのアクションも起こすし、その姿は迷いが無いだろう。

 

 後半に沖縄に移り、それまでただの駄目親父みたいだった父親が、精力的に動き出すところがなんともおかしかった。

 

著者

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サウスバウンド - Wikipedia

 

 

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