★★★★☆
あらすじ
北陸の施設で研究を行なう京都の大学生の、各方面との手紙のやりとり。
感想
いつもの森見登美彦らしく、日々を悶々と過ごす若者の、はたから見ればくだらない、だけど当人にしたら至って真剣な日々が描かれる。相変わらず下らなく面白い。今回はすべてが手紙形式で綴られており、所々に著者の手紙への想いが伝わってくる。
今や携帯で日々何通もメールを送ったりすることもあり、かつてないほど誰かと文通する時代なのかもしれないが、やはり誰かを想って手紙を書き、ポストに投函してその返事を待つ、という手間暇をかける昔ながらの文通とは、その重みが違う。一度の往復に時間がかかるから、なるべく一度で伝えたいことを書こうとすると、相手の反応を想像しながら書くことになる。書いてる間ずっと相手のことを考えることになる。何とも趣のある行為。もしもメールで長文を送ったりしたら、気味悪がられるだけだろう。
最後が少し中途半端な終わり方だった。
著者