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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「夜と霧」 1946

夜と霧 新版

★★★★☆

 

内容

 ナチスの収容所に収容され、生き延びた心理学者の体験記。

 

感想

 何度か心理学関係の本で取り上げられていたので読んでみた。アウシュヴィッツをはじめとする収容所の中での話。収容された人たちが人間として扱われず、そして本人たちも人間ではなくなっていってしまう。

 

 そんな中でも生き残るために必要だったことは何なのか。著者の語る言葉に考えさせられる。

 

 

 収容所内の話は興味深かったが、そこから開放された後の話はさらに興味深かった。

 

わたしたちは、まさにうれしいとはどういうことか、忘れていた。それは、もう一度学びなおさなければならないなにかになってしまっていた。

P149

 

 これ以上考えられない極限状態の最悪の状況から抜け出ることができた人々。だが、それでめでたしめでたしと終わるわけではない。失われていた感情を取り戻すのに時間がかかったり、反動で回復した自由をモラルなく行使する人がいたり。

 

 さらに、待っている家族や友人のためにも生き延びようとしていた人たちが、いざ自由になり戻ってみれば待っているはずの人間はみな死んでいて、これ以上はないと思っていた絶望に突き落とされたという話には胸が締めつけられる。戦争が終わっても、人々の心のなかにはいつまでもその傷跡は消えることはない。

 

 世界中で読み継がれているこの本を書いた著者だって、ほんのちょっとの運で生き延びられなかったかもしれないと思うと、あとがきの翻訳者たちの言葉がきつくなってしまっているのもよく理解できる。

 

著者

ヴィクトール・E・フランクル

  

夜と霧 新版

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 夜と霧 (文学) - Wikipedia

 

 

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