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「何者」 2012

何者(新潮文庫)

★★★★☆

 

あらすじ

 就活対策のために集まった男女が、それぞれの思いを抱えながら、内定を得るために奮闘する。

 

感想

 なかなか心に痛い小説だった。内定を得るよりも断られることの方が多いという、人生でほとんど経験することのない経験をしながらも、それでもそう簡単に止めることはできない就活。なかなか内定を得られない自分に悩み、同様にスタートした仲間の動向も気になり、内定を得たと聞けば嫉妬もする。

 

 そんな状況の中でも、自分は人とは違う特別な存在だと思うことで、なんとか自分を保とうとする。今どきらしくツイッターなんかで、それをアピールして。

 

なんか、思ってたことが全部出ちゃった。私ってこんなに子どもだったのかな

 p.257(文庫)

 

 この小説に登場する人物たちは、なかなか自分の本音を言わない。就活を批判しながら就活する男や、学生なのに名刺を作って配る女を笑いながら、何事もないように付き合っている。ある意味偉い。普通は距離取ったりしそうなものなのに。でも、もうちょっと本音を言い合っても良いような気がする。SNSなんかで吐き出さないで。

 

 

 就活に真正面から取り組む物語というのは、なかなか無いような気がするが、著者がちゃんと就活しているのが生きているのだろう。著者は、若くして作家デビューした事による利点を、ちゃんと利用出来ているような気がする。

就職戦線異状なし [VHS]

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  • 発売日: 1992/06/19
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  妙なプライドや虚栄心を捨て去って、素の自分を知ることが必要とか、就活は何かの宗教儀式のようなものにすら見えてしまう。なんでそこまでしなきゃいけないの、と思ってしまうが、そうすることに決めた以上はやるしかない、ということなのだろう。就活を控えた人には、心構えとして読んでおくと良さそうな作品。

 

著者

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