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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「世界の辺境とハードボイルド室町時代」 2015

世界の辺境とハードボイルド室町時代

★★★★☆

 

 ソマリランド室町時代の日本と似ている、ということから始まった日本中世史の研究者とノンフィクション作家の対談。

 

 人類は目覚ましい進歩を遂げたが、すべての地域でその足並みは必ずしも揃っているわけではない。進歩の度合いにばらつきがあるので、ある地域の過去に起きたことが、別の地域では現在進行型で起きているかもしれない。なので、例えば日本の中世の様子を掴みたければ、世界の辺境を訪れることでそれが可能になる、という見方は面白い。日本の歴史を研究するために、アジアやアフリカの辺境に向かうということも出てくるのかもしれない。

 

 とはいえ、何から何まですべてが一緒のわけはないく、地域によって特徴がある。興味深かったのは、日本人は揉め事で金を解決するということをしてこなかったという指摘。今でこそ裁判をやったりするが、それでも積極的にそれを利用する人は少ない。確かに揉め事に限らず、お金の話は出来ればしたくないという雰囲気はある。

 

 お金は汚らわしいもので、そんなものよりも誠意や気持ちといった気高き精神を尊ぶ、という考え方なのかもしれない。確かに伝統的な日本人マインドを持っている人はすぐに土下座をしたり、させたがるかもしれない。それが極端になったものが、死んでお詫びするとか、死んで身の潔白を訴えるという行為となって現れるのだろう。土下座や切腹、小指の切断とか、良く考えるとそんな事されてもされた側は特にメリットはない。

 

 それから「お国のため」という言葉。これを言い換えて「政府のため」と言われたら、なんで政府のためにそんな事しなきゃいけないんだよ、知るかって思えるのは何でなんだろう。戦国時代も滅亡しそうな領主ほどこの言葉を使っていたそうなので、この言葉をよく耳にするようになったら要注意だそうだ。

 

 個人的には、日本人のお上意識が未だに抜けないのはなぜなのか興味がある。総理大臣だって間接的に国民が選んでいるのに、その総理大臣がおかしなことをやり出しても、辞めさすぞ、とならずに、良くわからないけどお上のやることに間違いがあるはずがない、と勝手に慮っているのは不思議。

 

 二人の、特に高野秀行の知識量に驚かされつつ、日本の歴史と世界の辺境の話が同じ土俵で語られる事で、意外な推察や面白い仮説が飛び出してきて楽しめる。と同時に新たな視点が出来て、自分自身の視野が広がったような気もした。やはり色んな分野に関心を持つということは大事だ。

 

著者 高野秀行/清水克行

 

世界の辺境とハードボイルド室町時代
 

 

 

登場する作品

喧嘩両成敗の誕生 (講談社選書メチエ)

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今昔物語集 全4冊セット (岩波文庫)

「今川かな目録」

本福寺跡書」

贈与の歴史学 儀礼と経済のあいだ (中公新書)

【新版】 雑兵たちの戦場 中世の傭兵と奴隷狩り (朝日選書(777))

刀狩り―武器を封印した民衆 (岩波新書 新赤版 (965))

生類をめぐる政治――元禄のフォークロア (講談社学術文庫)

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日本神判史 (中公新書)

世界が生まれた朝に

中世社会の基層をさぐる

バック・トゥ・ザ・フューチャー (字幕版)

日本仏教史―思想史としてのアプローチ (新潮文庫)

無縁・公界・楽 増補 (平凡社ライブラリー)

大飢饉、室町社会を襲う! (歴史文化ライブラリー)

飢饉 ―飢えと食の日本史 (集英社新書)

イスラム飲酒紀行 (講談社文庫)

「当代記」

「月海録」

「勝山記」

「時慶卿記」

今堀日吉神社文書 (1975年)

江戸の性談―男たちの秘密 (講談社文庫)

伊達政宗の手紙 (新潮選書)

粉河寺旧記」

「天狗草紙」

姿としぐさの中世史 増補 (平凡社ライブラリー)

山本菅助の実像を探る

もののけ姫 [DVD]

世界屠畜紀行

義経の東アジア

平家物語 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集09)

へうげもの コミック 全25巻完結セット

塵塚物語 (1980年) (教育社新書―原本現代訳〈63〉)

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ミャンマーの柳生一族 (集英社文庫)

逝きし世の面影 (平凡社ライブラリー)

回想の明治維新―一ロシア人革命家の手記 (岩波文庫)

ヤバい社会学

未来国家ブータン (集英社文庫)

百鬼夜行絵巻 国会図書館蔵「亥」本「す」本

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室町の王権―足利義満の王権簒奪計画 (中公新書)

幻の怪獣 ムベンベを追え

巨流アマゾンを遡れ (集英社文庫)

室町社会の騒擾と秩序

アヘン王国潜入記 (集英社文庫)

地図のない場所で眠りたい (講談社文庫)

忘れられた日本人 (岩波文庫)

事実とは何か (朝日文庫 ほ 1-12)

足利尊氏と関東 (人をあるく)

ミャンマーの国と民

遺跡が語る日本人のくらし (岩波ジュニア新書)

古事記 (岩波文庫)

日本辺境論 (新潮新書)

日本の歴史をよみなおす (全) (ちくま学芸文庫)

万葉集(一) (岩波文庫)

情熱の薔薇 (デジタル・リマスター・バージョン)

西南シルクロードは密林に消える (講談社文庫)

中国化する日本 増補版 日中「文明の衝突」一千年史 (文春文庫)

 

 

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