★★☆☆☆
あらすじ
韓国から日本にボートで密輸をしていた韓国人の男は、世話役の日本人に利用され、組織から追われることになる。
感想
たくさんの家族を養うために所属する組織を裏切り、大金を手に入れようとした男と、その濡れ衣を着させられた男、いつしか二人の間に奇妙な絆が生まれ、という作品。
だけどよく分からない事が多くてどうもすっきりしない。そもそも妻夫木聡演じる男が大金が必要なのは、妹の子供が病気だから。でも妹の旦那はボスの息子なんだから、そっちで面倒を見ても良さそうなものなのだが。それにボスは息子の嫁の兄という、いわば身内の立場の男を下っ端として使っているのもよく分からない。そういう組織というのは、信頼できる身内を重用するものだと思っていた。
謎がいっぱいだが、とにかく苦しい立場に置かれている男。大金を手に入れるために、韓国から拉致してきた女を売り飛ばそうとするも失敗。しかし女はいなくなったわけではないので、もう一度、引き渡す交渉をすればよかったのにそれはしない。代わりに、どこにいるのか全くあてのない、女の父親を探すことに方針転換する。この辺りの勝算の曖昧な行動も理解しがたい。
よく分からないなりにも、スリリングに展開してくれれば良かったのだが、ただダラダラと過ごす日々を映し出す。女の父親を探そうにも何のあてもないのだから当たり前だ。そもそもこの映画はそんなことよりも、違う境遇の二人の男のドラマを描こうとしている。だったら、もっとスッキリとした設定を用意してからやって欲しかった。頭の中がクエスチョンマークだらけの中で、じっくり人間ドラマなんて見ていられない。
大きく盛り上がることもなく、最初から最後までずっと停滞感が漂ったままの映画になってしまっている。最後まで謎は謎のまま、むしろ次々と謎が積み上げられて物語は終わる。最後は、え?それで終わり?みたいな潔いエンディングだった。
スタッフ/キャスト
監督 キム・ヨンナム
出演
ハ・ジョンウ/徳永えり/柄本佑/あがた森魚/貫地谷しほり
音楽 砂原良徳