★★★★☆
内容
ノーベル医学生理学賞を受賞した動物行動学者による、動物に関するエッセイ。
感想
読んでいると、著者は本当に動物が好きなんだなということがひしひしと伝わってきて、微笑ましい気持ちになる。研究者である前に何よりも動物好きだ。楽しそうに語っている。
個人的に、身近な動物としては犬や猫を思い浮かべてしまうが、この本では鳥に関する話がたくさん出てくる。生まれたばかりの雛鳥の親として寝る間もないくらい面倒をみる羽目になったり、著者の事を好きになった鳥が、気に入られようと鳥にとってはご馳走の気持ちの悪い虫の塊を無理やり口の中に押し込もうとしたりしてくるエピソードなどを読んでいると、鳥を飼うのもなかなか面白そうだ、という気になってきた。
ペットにはどの動物を飼うのがいいのかを検証する章で印象に残ったのは、多くの人が飼いやすいといっている動物の殆どは、単純に死ににくい動物でしかない、と強調している箇所だ。ストレスを抱えても耐性があるから長生きできるだけで、実際は飼われた瞬間から死に始めているという。
この辺りは本当に動物のことを考えている動物好きの発言だなと感心する。多くの人は面倒を見てやってるんだから、自然の中で暮らすよりもペットは幸せのはずだと思ってしまいそうなところだ。それを著者は飼うことで動物の本来の生きる姿を失わせることにならないかと心配している。
関係ないが、この環境が悪くても耐性があるために長生きできてしまう動物、というのは、何故かブラック企業を思い浮かべてしまう。ひどい環境に耐えられてしまう人間がいるおかげで、ブラック企業は生き残ることが出来ている。人間もどうせ生きるなら耐えて生きるのではなく、伸び伸びと生きたいものだ。
動物への愛情とユーモアのある語り口で、楽しく読むことができる。
著者
コンラート・ローレンツ
登場する作品
「内科学」 シュトルンペル
「魚のキスなんて知らないわ」
「動物の生活(ティーア・レーベン)」 アルフレート・ブレーム
「聖者とけもの」 ヴィートマン

