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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「スピンクの壺」 2015

スピンクの壺 (講談社文庫)

★★★★☆ 

 

内容

 飼い犬の目から見た著者たちの生活を綴ったエッセイ。

 

感想

 著者が仕事になかなか取り掛からず、ふと思い立っては別の用事に取り掛かり、得意気になったり、落ち込んだり、八つ当たりしたり、急に真面目になったりする様子が、毎度のことながら面白い。こういう誰にでもある人間のどうしようもない矛盾した部分を、滑稽に描いてみせるのが本当に上手い。

 

シードによると、全然違うそうで、詩には気分があり、小説には気分がなく、小説には筋があるけれども、詩には筋ではなくて骨があるそうです。また、犬は小説で猫は詩ですが、詩人は犬を好み、小説家は猫を好むそうです。

p231

 

 そしてそんな中で時折、披露する自説も興味深い。この小説と詩の違いについても、その両方をやる著者の考え方が垣間見えるような気がする。だから犬と猫を飼っているのか、とも。

 

 もう一つ、フェイスブックについての見解も面白かった。犬で言えば、誰かがオシッコをして匂いを残した場所に、他の犬たちがクンクン嗅ぎ回ってさらにその上にオシッコをして匂いを残して回っているようなものだという解釈。上手い事言っているようなそうでもないような。そして批判的なことを言いながらも、だけどフェイスブックをやめるのは寂しいから嫌だ、というのも人間味があって良い。

 

 

 それから、本当に暗い過去を持っているミニチュアプードルのシードは、どこか達観したようなニヒルな態度で描かれているが、身勝手な人間に対する動物の想いを、彼らに代わって著者が代弁しているようにも感じられた。

 

著者

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スピンクの壺 (講談社文庫)

スピンクの壺 (講談社文庫)

 

 

 

登場する作品

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くじけないで

人間失格

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