★★★★☆
内容
一般人にはあまり知られていない鳥類学者の生態を、学者自らが語る。
感想
言われてみれば確かに、鳥類学者が普段は何をやっているのか良くわからない。人類の役に立っているのかも良くわからないが、その辺りの事柄について柔らかい語り口で面白おかしく語られるので、肩肘張らずに楽しく読むことが出来る。
鳥類学者にとって島が絶好の調査の場所であり、そこでの調査の様子や、絶滅寸前の鳥の保護活動の実態、新種の鳥の発見でしくじってしまったことなど、興味深い話ばかり。
読んでいて思うのは、鳥類学者は鳥だけではなく、動物や昆虫、植物なども詳しいのだなということ。鳥について詳しく知るには、天敵は何で、何を食べていて、どんな場所にいるか、などを知らなければならないので、当然といえば当然なのだが、鳥のことだけ知っていればそれで大丈夫、というわけにはいかない。結局、自然すべてを相手にするということになる。
それから、チョコボールのキャラクター、キョロちゃんの生態をその姿形から考察してみせる話も面白かった。目が横ではなく前についているから猿のように樹上で生活していて、大きな嘴で果実を食べるのだろうみたいな、その外見の特徴から次々と推察していく姿は素直にすごい、と思ってしまった。これを読んで、鳥類学者に憧れる人間がでてくるかもしれない。
気軽な感じで、知らなかった鳥類学者の世界を覗き見ることが出来る、楽しい一冊となっている。
著者
川上和人