★★★★☆
あらすじ
戦争孤児で女手一つで苦労して娘を育て上げた老婆は、ふとしたきっかけで20歳の頃の自分に若返ってしまう。韓国映画のリメイク作品。
感想
もうほとんど多部未華子の魅力だけでもっていると言ってもいい映画。彼女は自分の面白い部分をちゃんと分っていて、それを存分に活かしている感じがして良い。誰にでも人と違うところがあって、それをコンプレックスとして隠そうとするか、それとも個性として活かしていくかは、そのひと次第だ。
それから多部未華子が歌う昭和の名曲たちもよい。洋楽の往年の名曲を耳にすることは多いのだから、邦楽のかつての名曲もそれぐらい聴く機会があってもいいはず、と思っているので、こういう事はもっとやって欲しい。過去の名曲を踏まえた上で新しい音楽が生れていくことで、日本の音楽シーンの厚みが増し、より成熟していくはず。
ただこの映画の中で、昭和歌謡バンドということで知られるようになったバンドが作るオリジナル曲ってそれかな?と思ってしまった。別に悪い曲ではないとは思うが、全然方向性が違う曲。一気にそれまでのファンが離れてしまうような気がする。
映画は本当に多部未華子の魅力だけで展開されるので、物語としてはいまいち。コメディ映画ではあるが、別に笑えることもそんなになくて、正直序盤の倍賞美津子パートは長く感じてしまった。
それから、女が良いのは若い頃だけだと最初に言っておいて、年寄りを若者に戻して、そのままやっぱり若いのは良い、と言っているのはある意味すごい。どの年代の女にもそれぞれの良さがある、みたいな話になるのかと思っていた。
さらによく考えると、主人公自身が若返って良かったことはほとんど無かったような気がする。ちょっとした恋心を味わえたぐらいか。それよりも周りが彼女によって救われることが多くて、人のために生きてきた若返る前の彼女と何一つ変わっていない。ずっと損な役回り。
若者がおばあちゃんみたいなことを言うのが面白いということなのだろうが、もうちょっと深みのある話が観たかった。
スタッフ/キャスト
監督 水田伸生
出演 多部未華子/倍賞美津子/要潤/北村匠海/金井克子/志賀廣太郎/小林聡美/野村周平
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