★★★★☆
内容
ソウル・ミュージックの歴史を紹介する。
感想
著者の語り口が「中の人」という感じではなく、少し距離を取った感じなのが意外だったが、著者はイギリスの人で、基本的にはソウル・ミュージックはアメリカで生まれ発展したものだから当然か。欧米とひとくくりに考えてしまいがちだが、ヨーロッパの人にとってもアメリカで起きていることをすんなり理解できるわけではなく、それなりのバックグラウンドを知らないと難しい、というのはよく考えれば当たり前の話だ。
ソウル・ミュージックの歴史が、順を追って紹介されていくのだが、サザン・ソウルやフィラデルフィア・ソウルとジャンル分けされることもある各地方のソウル・ミュージックの成立過程が詳しく語られていて、それぞれがよく理解できるようになっている構成なのが良い。自分の中で曖昧だったその区分けがいくらかはっきりとしてきた。
その中で南部では、黒人と白人のミュージシャンが一緒になって音楽を作り上げていたという話は興味深かった。アメリカは南部の方が差別的だというが、それは白人と黒人が密接な関係で暮らしているから、ということなのかもしれない。近くにいるから差別的な行動をとる人間もいるが、黒人音楽の良さを知り、好きになる人間もいるということか。経営はともかく、スタジオは黒人だけでやっていたのかと思っていたので、少し意外だった。
そして、黒人と白人がうまくやっていたのに、一連の公民権運動の盛り上がりと共に、それがぎこちないものへと変わっていった、というくだりは切ない。今まで何も気にせずやって来たのに、急に外部から意識させられるようになってしまったからだろうか。この時期には、他にもこんな風に上手くいかなくなったコミュニティがたくさんあったのかもしれないと思うとやり切れない。ただ、表面上は上手くやっていたとはいえ、心中では色々と思うところがあったのかもしれないが。
スターが登場した時や、名盤が発表された時の著者の思い出が語られていて、今となっては分からない当時の雰囲気がなんとなく伝わってくるのが良い。おすすめのアルバムなども紹介されていて、ソウル・ミュージックの入門編には最適な一冊となっている。
著者
ピーター・バラカン
登場する作品
さらば青春の光 (ユニバーサル・ザ・ベスト:リミテッド・バージョン) 【初回生産限定】 [DVD]
ディレクターズカット ウッドストック 愛と平和と音楽の3 日間 [Blu-ray]
「Claudine by 20th Century Fox by John Berry【DVD】 [並行輸入品](クローディーン)」
「シドニー・ポワチエ/一発大逆転 [DVD](レッツ・ドゥー・イット・アゲイン)」
プレミアムプライス版 ザッツ・ザ・ウェイ・オブ・ザ・ワールド リストアHDマスター版 [DVD]