★★★☆☆
あらすじ
警察に協力し、犯罪組織のボスを捕まえた自動車整備工の男は、逆恨みされて妹たちをさらわれてしまう。
感想
カーアクションが中心となった映画。古い映画ではあるが、レースシーンなどは「ワイルドスピード」に全然負けていない疾走感のある映像に仕上がっている。こういういわゆる走り屋の映像表現というのは、日本やアジアの方がむしろ得意なのかもしれない。自然発生的な公道レースのスターター役を鳩が務めたのは、ジョン・ウーぽくて笑ってしまった。ジャッキー映画定番の三菱車を中心に、様々なスポーツカーを見ることが出来る。
そして、冒頭とクライマックスの舞台となっていたり、加山雄三が出ていたりと、日本がフィーチャーされた映画でもある。そんな中で、中盤に主人公らが仙台で訪れたパチンコ屋が、「キル・ビル」的世界になっていて面白かった。妙にゆったりとした間隔でパチンコ台の列が並び、店の奥にはサウナがあるという謎の空間。主人公が暴れるとサウナから全身刺青のふんどし姿の男たちが現れ、ちょっとサイズが大きめのパチンコ玉が散らばる。日本人から見れば奇妙だが、彼らとしては何でもあるカジノ的なものをイメージしているのかもしれない。
ストーリーは、スリルが好きな犯罪集団のボスが主人公に負けて捕まり、その腹いせに妹を人質に、主人公にカーレースで勝負を挑むというもの。卑怯なボスが主人公に「ズルいことをするなよ」と警告するのはちょっと驚いたが、とりたてて大したストーリーではなく、ジャッキー・チェンの魅力で見せていくいつものジャッキー映画だ。ただ今回はあくまでもカーアクションがメインとなっていて、ジャッキーの体を張った格闘シーンは少なく、あまり力も入っていない印象だった。
クライマックスは、主人公と敵役が出場する日本でのカーレースシーン。撮影中に何人か人が死んでいるのでは?と疑ってしまうほどの、激しい事故シーンの連続で迫力がある。ジャッキーも火だるまになったりして見せ場があり、最初からハイテンションではなく、静かに始まり徐々に盛り上がっていく重厚感のある演出も良くて、レース自体を楽しむことが出来る。息詰まる接戦の後のゴールシーンも興奮させてくれるのだが、でもどこかでジャッキーのアクションをもっと期待している自分がいた。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 ゴードン・チャン
出演
アニタ・ユン/トーステン・ニッケル/加山雄三/江黒真理衣/澤田謙也/マイケル・ウォン/ユン・ケイ
音楽 梁邦彦