★★★★☆
あらすじ
30歳で女性経験のない大学講師の男は、大学院時代の後輩女性に好意を持つ。
感想
タイトルから、女性と関係を持ちたいと願いながらもその機会がなく悶々とする男、みたいなのを想像していたが、そんな感じではなかった。たまたま恋愛に縁遠く、その歳になってしまったという男の物語。なので、年齢を抜きにしたら普通に青少年の恋愛とそんなに変わらない。
主人公は悶々としているにもかかわらず行動しないでじっと待つ男ではなく、意中の女性が出来たら、積極的に電話したり、会おうとしたり、告白したりする。至って普通の男の行動だ。
ただ下手に社会経験があるものだから、それがかえって仇になっている部分はある。若者なら初々しさが出てしまうところを、世慣れた態度でカバーしてしまい、それがこじれた感になり、逆に気持ち悪さになってしまう。そんな感じを主演の山本浩司がリアルに演じている。
それから、主人公が想いを寄せる女性が、掴みどころがない感じなのが、ちょっとイラっとする。思わせぶりな態度があったり、冷たい態度を取ったりと、本心が見えづらい。なかなか初心者には難しそうな相手だ。ただ、彼女は彼女で心が揺れていたということだろう。結局、いくつにもなっても恋愛事になると心は落ち着かない。
なんだかんだで順調に距離を詰めていく主人公。なのに間の悪さで二人のタイミングがかみ合わず、うまく事が進まないのは気の毒としかいいようがない。何度かそれが続くことで気まずい空気にもなるし、勢いもなくなる。やがてはそれだけが目的のようになってしまうという悪循環。もうそういう運命じゃないのだなと思ってしまいそうなところを、まだ頑張ろうとするからさらにまた一つ悪循環が重なる。
ほろ苦い展開にこちらまで悶々としてしまうが、でもそんなには暗い気持ちにはならない。これは彼にとって千載一遇のチャンスだったわけではなく、自ら生み出したチャンスだった。なので今後も機会があれば自らチャンスを生み出すことができるだろうし、チャンスが多ければ成功する可能性も高まる。だから何も心配することはない。
童貞”引きこもり”記なら不安だが、放浪してるなら大丈夫。いつかその日が訪れる。
スタッフ/キャスト
監督 小沼雄一
出演 山本浩司/神楽坂恵/ 堀部圭亮/古舘寛治/内田慈/志賀廣太郎/セイン・カミュ/木野花