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「獄中の顔役」 1968

獄中の顔役

★★★☆☆

 

あらすじ

 抗争で劣勢に立たされている組長に恩義を感じている一匹狼の男は、敵の組織に一人で乗り込む。100分。

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感想

 いきなり主人公が男と死闘を繰り広げるシーンから映画は始まる。クライマックスから映画を見始めたような、不思議な気分になる。多少戸惑いつつも、一気に集中力が高まった。

 

 主人公が関わることになるのは競輪場の利権をめぐる組同士の抗争だ。それにしても、ヤクザが普通に地方自治体の仕事を請け負っているのには驚く。今ならそんなあからさまことは出来ないが、当時は皆の良識に委ねられていたということだろうか。

 

 

 ただちょっと調べてみると、法律で暴力団を公共事業から排除し始めたのはわずか10年ほど前からのようだ。思ってたよりも最近だった。だがどうせ今も癒着して隠れてやっているのだろう。

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  主人公は冒頭の事件で刑務所に入るが、その後すぐに娑婆に戻って来た様子が描かれる。全然タイトル通りではなかったが、中盤に再度刑務所に入り、ようやくそれらしくなってきた。いわゆる獄中ものにありがちなエピソードが繰り広げられる。

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 そんな中で、主人公が初日に同じ雑居房のメンバーに挨拶するシーンで、主人公が由利徹演じる男に、なにニヤニヤしてんだ!と注意される一幕がある。これは偉そうにしているメンバーの一人が実は知り合いだったとか、なにかの伏線かと思っていたのだが、それきり何もないまま次の場面に切り替わってしまった。

 

 あれは何だったのだろう?と腑に落ちなかったが、単純に、思わず笑ってしまった高倉健に対する由利徹のアドリブだったのだろうか?だがきちんとカット割りされているので、敢えてやっている雰囲気もある。真意は分からないが、妙に浮いたシーンだった。

 

 クライマックスは勿論、出所した主人公が敵地に乗り込むシーンだ。高倉健は見せ場になると、グッと引き締まったいい表情をする。ワンパターンな展開だなと思いながらも、その魅力でやっぱり引き込まれてしまう。

 

 ただこの映画では、冒頭と中盤、そしてラストと、主人公は三回もクライマックス的な対決を行っている。だから仁侠映画定番の、耐えて耐えて堪えきれずについに爆発、といった感じはない。どちらかというと主人公は、出所したらすぐに敵に襲い掛かって刑務所にとんぼ返りするヤバい奴みたいになっている。

 

 クライマックスが三回あるので、ある意味で仁侠映画を三本見たような気分になれるお得な映画だ。そしてエンディングが映画冒頭へとつながり、高倉健が永遠にこのループの中にいるような、そんな錯覚に陥ってしまう。 

 

スタッフ/キャスト

監督

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脚本    笠原和夫/高田宏治/鳥居元宏

 

出演

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藤純子/山城新伍/由利徹/左卜全/左とん平/室田日出男/潮健児/八名信夫/小林稔侍/島田正吾/池部良

 

獄中の顔役 - Wikipedia

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