★★★☆☆
あらすじ
封印された黄金軍団を蘇らせ、人間との戦いを再開させようとする魔界の王子と、それを阻止しようとするヘルボーイら超常現象捜査防衛局のメンバー。
ギレルモ・デル・トロ監督によるアメコミ「ヘルボーイ」の映画化作品。シリーズ第2作。原題は「Hellboy II: The Golden Army」。119分。
感想
冒頭で、物語の前提となる魔界と人間界のかつての戦い、そして黄金軍団(ゴールデン・アーミー)が封印された経緯が説明される。この場面は人形劇風に描かれるので、見ているだけで楽しかった。ただ説明が多く、字幕を必死に追わなければならなかったので、十分に映像を堪能したとは言い難いのが残念だ。
それ以外でもしっかりと映像が作り込まれており、監督のこだわりを感じる。SFX全盛の80年代ぽいクリーチャーの造形や動きも味わい深い。しっかりとした世界観が構築されていて、映像を眺めているだけも満足できてしまう。
最初の物語の前提さえ把握してしまえば、あとは分かりやすいストーリーだ。前作の内容をすっかり忘れてしまっていても支障にならなかった。ヘルボーイが仲間と共に、黄金軍団の復活を阻止しようとする。
悪魔のヘルボーイの仲間は、半魚人など個性的なキャラばかりだが、その中では今回彼の上司となったヨハン・クラウスが面白かった。昔のロボットみたいなヴィジュアルで、エクトプラズム(霊気)を操る。常に霊気でモクモクしているのが取り合えず可笑しい。偉そうなのにどこか抜けていて、スターウォーズのC-3POみたいだ。ときどき霊気だけとなって体を離れ、笑わせたり活躍したりする。
前作よりは引っ掛かりを覚えることなくすんなりと見られたが、その分、スケール感は失われてしまったような印象はある。ただ続編なので、人間界で生きる悪魔の悲哀をいちいち深刻に描いていたら、クドくなってしまうからだろう。メンバーの恋や将来の不安などが描かれて、彼らの壮大な悩みではなく、日常が垣間見える物語となっている。
漫画の連載のようなスタイルでいくなら、これはこれで悪くない。こういう世界観が好きな人なら十分に楽しめるはずだ。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 ギレルモ・デル・トロ
原作 ヘルボーイ チェインド・コフィン 縛られた棺 (小プロワールド コミックス)
出演 ロン・パールマン/セルマ・ブレア/ダグ・ジョーンズ/ジェフリー・タンバー/(声)セス・マクファーレン/ジョン・ハート/ルーク・ゴス/アンナ・ウォルトン/ロイ・ドートリス
音楽 ダニー・エルフマン
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前作 シリーズ第1作