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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「メイン・テーマ」 1984

メイン・テーマ

★★★★☆

 

あらすじ

 園児の父親にほのかな想いを寄せていた保母は、知り合ったマジシャン見習の若者と共に、大阪に転勤となったその園児の父親に会いに行く。

 

感想

 野村宏伸のデビュー作で、まだあどけなさが残る少年、といった面持ちをしている。だが、後のドラマでのなよなよしたイメージとは違い、ぶっきらぼうでふてぶてしい雰囲気を醸し出していたのは意外だった。

 

 一方の主役の薬師丸ひろ子は、普通にも不細工にも美人にも見える不思議な顔立ちで、その落差が良いのだろう。いつ何時でも美人な顔だとすぐに見飽きてしまいそうだが、彼女の脆さを感じる不安定さは放っとけない気分にさせられる。だから人を惹きつけるのだろう。映画の中でも段々と魅力的になっていった。

 

 海辺にたたずむ主人公を、青年が車で煽ることで二人は出会う。砂浜で訳も分からずいきなり車に追い立てられるなんて恐怖でしかないと思うのだが、なぜか意気投合して仲良くなってしまう。その後も出会ったばかりなのに二人きりで車で大阪に向かったり、途中の浜松で宿泊したりと主人公の警戒心を感じられない行動が続く。そもそも主人公は大阪に、恋心を抱いた男の妻子のいる家庭を訪問するために向かっているわけなので、もともとどこか感覚がおかしいのだろう。

 

 

 男の家では当然奥さんに邪険にされて追い出され、次に主人公は一人で沖縄に向かう。そこで大阪で別れた青年と再会し、さらには恋心を抱く男とその不倫相手とも偶然出会ってしまうという都合の良い展開が待ち受けていた。スマホのない当時は連絡を取り合ったとしてもすれ違ってしまいそうなものだが、世界の狭さを感じさせる出来事だった。どっちつかずで心が揺れる大人たちに主人公が喝を入れ、彼女自身もまた成長していく。

 

 皆がフラフラしすぎでちょっとよく分からないなと思わなくもないのだが、時おり挿入される小ネタやアイデア溢れる映像、凝った構図などがアクセントとなって、なんだかんだで楽しめた。二人がホテルにチェックインしてから部屋に行くまでを奇妙なタッチで描くラストも独特で面白かった。しかしこれで終わるというのもなかなかすごい。当時の中高生はきっと妄想が捗ったはずだ。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本

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原作 メイン・テーマ1

 

製作 角川春樹

 

出演

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野村宏伸/財津和夫/桃井かおり/太田裕美/ひさうちみちお/渡辺真知子/戸川純/小倉一郎/浜村純/細川隆一郎/小松政夫/伊藤克信/林賢バンド

 

メイン・テーマ

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  • 薬師丸ひろ子
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メイン・テーマ (映画) - Wikipedia

 

 

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