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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「内海の輪」 1971

松本清張 内海の輪

★★★☆☆

 

あらすじ

 不倫相手と瀬戸内の町で密会する計画を立てた女。タイトルの読みは「ないかいのわ」。

 

感想

 崖下に転落した女性の死体が発見されるシーンから映画はスタートする。そして時間を遡り、そこに至るまでに何があったのか、その過程が描かれていく。主演の岩下志麻は登場からじっとりとした演技。夫を演じる三國連太郎との絡みはねっとりとし過ぎていて、ちょっと笑ってしまうほどだった。ただこれで、この映画の世界観がどんなものなのか、最初にしっかりと伝えることができたといえる。

 

 愛媛の松山に住む主人公と、中尾彬演じる東京の不倫相手が、正月に瀬戸内の町で密会する計画を立てたのがことの始まり。最初は楽しい秘密の小旅行くらいの軽い気持ちで出かけたのに、いつの間にか帰れなくなってしまうというプロットは面白い。別れ難い気分でズルズルと予定を延長して尾道や倉敷などを漂っていたら、意地の悪い女中に運悪く目撃され、戻って来るなと忠告をされてしまう。その後さらに鞆の浦、蓬萊峡と彷徨ううちに、二人の間に次第に溝が出来始める。

 

 

 そして最終的には悲劇が訪れるわけだが、それを招いたのは二人の覚悟に温度差があったからだろう。覚悟を決めて突き進もうとする主人公と、どこまでも逃げ腰の不倫相手。その違いをはっきりと認識し始めた時の主人公の顔が切なかった。そしてクライマックス直前の主人公の半狂乱ぶりはすごかった。浴衣に下駄の格好で崖をよじ登り叫ぶ。いやいや何やってるの?と思わずツッコんでしまった。でもこの兵庫県の蓬萊峡では、皆がこんな風に危険な崖をよじ登って観光をしているのだろうか。

 

 物語がすすむにしたがって、じっとり度がどんどんと増していく映画。岩下志麻は当時30歳くらいだが、その年齢でこの妖艶さはすごいなと感心してしまう。ただ、物語としては破局が近い不倫カップルの旅行を見ているだけなので、じっとりゆったりとしたテンポに少々だるさを感じてしまったのは否めない。

 

スタッフ/キャスト

監督 斎藤耕一

 

原作 内海の輪 (角川文庫)


出演 岩下志麻/中尾彬/三國連太郎/滝沢修/加藤嘉/夏八木勲

 

音楽 服部克久

 

内海の輪 - Wikipedia

 

 

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