★★★☆☆
あらすじ
高校の先輩に求められるままに応じてしまう女子高生。118分。
感想
主人公に迫った男の言い訳が「別に好きじゃない、体が目的」という最低な言葉なのだが、逆にド直球すぎて清々しさすら感じる。むしろ男らしい。変に気を持たせる言葉を言わないものだから、相手はそこで別れるか、別れたくなければそれでもいいから相手をしてもらうということになる。
そして別れない以上は、お願いベースで付き合ってもらう事なので、相手に愚痴を言える義理はなく、ただ従順に言うことを聞くしかない。これでは二人が奇妙な関係になるのは仕方がない。これは映画なので仕方がないが、本当は容姿に恵まれない女性が主人公を演じた方がリアリティが出るのだろう。その方がもっと悲しみや切なさ、いじらしさが際立った気がする。主演の市川由衣は体を張った演技をしてはいたが。
ほとんど主人公と池松壮亮演じる相手の男しか登場せず、主人公の孤独があんな行動に駆り立てたのだろうなと想像できる。母親に露見してなじられ、手近のものを投げつけられながらも、それでもせんべいを齧り続けるシーンは、主人公の正常じゃない感じがよく表れていた。
男の主人公に対する気持ちが変わったこと、そして主人公が一人暮らしを始め、色んな人と出会って孤独感が薄まったことが、彼女の気持ちを落ち着かせ、冷静さを取り戻させたのだろう。ようやくまともな判断が出来るようになった。
かなり余白の多い映画で、セリフも少なく間も長い。それに味わいを感じるか、持て余すかは人それぞれだが、自分は後者だった。間延びしているように感じられて、見ていてしんどかった。せっかくなので主演のヌードもちゃんと入れておきたいという製作者の意図もあったのだろうが、この内容で2時間はきつい。なかなかの忍耐が必要だった。
スタッフ/キャスト
監督 安藤尋
脚本 荒井晴彦
出演 市川由衣/池松壮亮/三浦誠己