★★★★☆
あらすじ
先代がバスカヴィル家に伝わる伝説の魔犬によって殺されたのではと恐れる相続人に、真相究明を依頼されたシャーロック・ホームズ。
コナン・ドイルによるシャーロック・ホームズの長編第三作目。別邦題に「バスカービルの魔犬」「のろいの魔犬」。原題は「The Hound of the Baskervilles」。
感想
シャーロック・ホームズが、地方の一族に伝わる恐ろしい伝説にまつわる事件を捜査する物語だ。もちろんこちらが先だが、「八つ墓村」などの金田一シリーズと似た雰囲気を持っている。個人的にはあまり得意なテイストではないのだが、伝説や幽霊は昔から娯楽作品の定番の題材だったということなのだろう。
序盤にロンドンで物語の導入部分があり、いつものホームズとワトスンでちょっとした捜査をした後、いよいよ一族の住む地「ダートムア」に舞台が移る。ここでホームズが同行せず、しばらくワトスンだけになる展開が新鮮だ。ワトスンがホームズに進捗を報告する形式になっており、自分の働きぶりを自画自賛したり、不安になったりしている。
地元の事件の関係者たちも皆、個性的だ。あまり快適そうではない土地に住み着くだけあって、クセのある変わり者たちばかりで興味をそそられる。そしてそこで起きる数々の事件も、程よくミステリアスで緊張感が持続する。
たださすがにそろそろホームズの活躍も見たいなと思い始めた頃に、意外な形で再び登場する。ベストなタイミングで主役が現れて、小気味よかった。このままではワトスン一人で解決してしまうと、心配し始めた矢先でもあった。このあたりの演出は上手い。
そしてホームズが登場すると、事件は一気に解決に向かう。すぐに犯人が明らかになる展開に、もうちょっと楽しませて欲しかった感はあるが、ラストは犯人を捕らえようとする動きのあるシーンで盛り上がった。
ただ伝説の魔犬が普通の犬だったというのは拍子抜けした。もっと何かすごい装置を使うとか、別の動物で偽装するとかしているのかと期待してしまった。だが色々と細工は施していたので、殺伐とした荒野の真っ暗闇で見たら普通の犬には見えないのだろう。逆に想像力が膨らんでより怖いのかもしれない。
著者
アーサー・コナン・ドイル
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