★★★★☆
あらすじ
企業乗っ取り騒動に乗じて会社に入り込んだ、いい加減で調子のいい男。
感想
植木等のいい加減で適当な感じが、観ていて心地よくなってくる。本当は結構な思惑や策略があるのだが、それを感じさせない即興のような対応だ。これも才能だ。そして、それで肩書きがどんどん上がっていく。
それにしても植木等が歌う「ドント節」は改めて聞くといい歌詞だ。本当はサラリーマンなんて気楽な稼業なんだよな、ということを思い出させてくれる。タイムカードを押してオフィスにいれば、勝手に給料は振り込まれてくる。正直、自分の給料に影響がなければ会社の業績なんて関係ない。
それを勝手に経営者気取りで深刻に会社の行く末に悩んだりするから、つらい稼業になる。経営者が自分の苦しみを共有させようと過度の責任を負わせようとしているのもあるのだろうが。本当は勝手に深刻になっているサラリーマンに「ご苦労さん」と茶化せる人がいないとダメなのだろう。
会社をクビになっても飄々としていた植木等が、復帰を望む同僚の声や助けようとする女たちを頑なに拒んで、もうすべてが嫌になったという様子で去っていくのはなんだか意外だった。彼の本当の姿を見てしまったような気がする。彼みたいなキャラクターでも、昭和の男は高倉健のように孤独に去っていくのか、と。
スタッフ/キャスト
監督 古澤憲吾
脚本 田波靖男/松木ひろし
出演 植木等/ハナ肇/谷啓/団令子/重山規子/中島そのみ/藤山陽子/峰健二(峰岸徹)/由利徹/松村達雄/犬塚弘/石橋エータロー/桜井センリ/安田伸/児玉清*
*クレジットなし
音楽 神津善行
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