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「HIGH OUTPUT MANAGEMENT 人を育て、成果を最大にするマネジメント」 1983

HIGH OUTPUT MANAGEMENT(ハイアウトプット マネジメント) 人を育て、成果を最大にするマネジメント

★★★★☆

 

内容

 インテルの創業者二人が最初に迎え入れた社員であり、後に社長・CEO・会長を歴任した著者による経営管理に関する本。

 

感想

 著者は、マネージャーの仕事とは、自分の組織、自分の影響力が及ぶ隣接諸組織のアウトプットを高めることだと定義している。これは意外と忘れてしまいがちなことで、気付くとアウトプットを高めるための諸活動、部下への指示や指導などだけに注力してしまい、肝心のアウトプットがどうなったかについては無頓着になってしまっていることも多い。

 

(前略)アウトプットを強調するのは生産性向上のカギであるが、活動の増加を狙うとまったく反対の結果になることがあるのである。

p81

 

 いつの間にか手段が目的となってしまっている酷い状態に陥る組織も出てきてしまう。そうならないためにも、アウトプットを最大化することのみに集中することが大事である。本書ではそのような視点で、ミーティングや計画、人事考課、教育訓練、採用から辞職希望者を引き留める方法まで語られている。

 

 とかくこの手の本はミーティング、会議は時間の無駄だと語られがちだが、著者は部下ひとりずつと一対一のミーティングを定例的に行うべきだとまで述べ、ミーティングの重要性を説いているのが面白い。世の中には会議を仕事の息抜きのおしゃべりの場と考えているおじさんたちが結構いて、そういう人のお相手をするのが会議だと思うとそれは無駄だが、ちゃんと準備のされた目的のある会議をするのなら、どれだけやろうがそれは価値あるものになる、ということだ。

 

 人事考課の方法も面白かった。部下に努力してほしい点を伝えるときには、ついつい親心的な気持ちでいろいろ言ってしまうが、たくさん伝えたところで部下が全てに対応できないのならそれは無駄なので、出来る分だけ伝えて、残りは次回に取っておいたほうが良い。相手が納得していなくても受け入れさせることに重点を置くべきで、互いにわかり合おうとまでする必要はない、というのもどこか新鮮な感じがする。

 

 その他、部下に対する教育も部下の能力ではなく、部下のその仕事に対する習熟度によってやり方を変える必要がある、というのも、なるほどと思わせる。スポーツの世界で、あるチームでは成功を収めた監督が、別のチームでは思うように結果が出せずにすぐ解雇されたりするのも、そういうことなのかもしれない。相手のレベルを見て指導方法を変えられる柔軟性が必要となる。

 

 このようにアウトプットを最大化するという視点から様々な業務を見ていくと、今までとは違った取り組み方が見えてきて大変参考になる。元々なのか、翻訳のせいなのか文章がすっと入ってこない硬めの文章なのが少々つらく感じるが、内容は非常に興味深いものだった。

 

著者  アンドリュー・S・グローブ

 

 

 

登場する作品

組織のなかの人間 上―オーガニゼーション・マン (現代社会科学叢書)

マイ・ライバル [VHS]

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