★★★★☆
内容
人気のウェブフレームワーク「Ruby on Rails」の開発元であるBasecampの創業者と開発者によるビジネス書。
感想
なかなか刺激的な内容。一般的に常識とされていることに疑問を投げかけている。外部からの資金調達やコストをかけてのPR戦略、それらは本当に必要か?と。そういった常識に無駄な時間と労力をかけることや、いつの間にかどこにでもあるような普通の会社になってしまうことに徹底的に逆らおうとしている。
大企業の中で働く人にとっては、この本は役に立たないかもしれない。ここに書いてある内容を実行しようとしてもきっと出来ない。逆に小さな会社やこれから会社を興そうと考えている人にとってはものすごく参考になる。すべて真似する必要はないが、こういうやり方を頭の中に入れておくことはきっと役に立つはずだ。身軽に動けない大企業と競争するためには必要なことだろう。
面白かったのが、ワーカホリックの人への見方。
彼らは好きで働きすぎているので、効率的な方法を探さない。ヒーロー感覚を楽しんでいるのだ。たくさん働くと興奮するというだけで問題を作り出す(本人も気づいていないことが多い)。
p30
昨今の過労死の問題は勿論、使用者に問題があるのだが、社員の中には上記のような人間が一定数いて、そんな使用者を助けている側面がある。そして、定時に帰る人間に対して陰口を叩いたりして圧力をかけ、帰りにくい雰囲気を作る。
労働基準署に目を付けられ、会社は「早く帰れ」と社員を急き立てているのに、言うことを聞かない社員たちが隠れてサービス残業をしたり、こっそり休日出勤をしていたりしていたのが発覚して、そんな無報酬で働く社員が会社に怒られている、という訳のわからない光景を目にしたことがある。具体的な解決策を示さない会社も悪いが、何も考えず無私で働く、自分に酔いしれている社員も相当たちが悪い。
そういう人達をのさばらせないためにも、本書では仕事以外に生きがいがある人を採用するように勧めている。
何か家でやらなければならないことがあればあるほど、人は会社で仕事をする。人がオフィスで仕事を終わらせるのは、他にいなくてはならない場所があるからだ。必要があれば人は効率のいい方法を見つける。子供を迎えに行かなくてはならない、聖歌隊の練習がある、だから時間を賢く使う、というように。
p245
一つ一つ内容がコンパクトにまとめられているので、時折パラパラとめくって眺めてみるといいかもしれない。小さな会社の経営者や、これから会社を作ろうとする人には。
著者
ジェイソン・フリード/デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン
小さなチーム、大きな仕事――働き方の新スタンダード (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
- 作者: ジェイソンフリード,デイヴィッドハイネマイヤーハンソン,黒沢健二,松永肇一,美谷広海,祐佳ヤング
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2016/12/08
- メディア: 文庫
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