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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「天才たちの日課 クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々」 2013

天才たちの日課

★★★★☆

 

内容

 作家や音楽家、芸術家、映画監督などの「天才」たちが、日々どのような日課で暮らしていたのか、それぞれ調査したものが挙げられていく。

 

感想

 作家や音楽家など、主に芸術分野で功績を残した人たちのルーティンがまとめられている。彼らの華やかな一面や面白いエピソードが語られることはあるが、人生の大半を占めていたであろう何でもない普通で地味な一日をどう過ごしていたのかを知ることはほぼなかったので興味深かった。ちなみに日本人では村上春樹のルーティンが紹介されている。

 

 たくさんの人物の日課が挙げられているので、それらを比較できるのも面白い。クリエィティブな仕事をしている人たちだから、さぞやオリジナルで独創的な日常を過ごしているのかと思いきや、意外にも共通点が多くて皆同じようなことをしている。だいたい早起きで日中に仕事をし、合間に散歩や昼寝をする。

 

 

 もっと夜型の人間が多いのかと思っていたが、日中に活動することが基本となっている世の中では、結局それに合わせた方が都合がよいのだろう。特に家族がいたらそうせざるを得ない部分もあるはずだ。歳を重ねるにつれて、自然とそんな生活に落ち着いていくのかもしれない。

 

 中には変わった習慣を持つ人たちもいて、彼らが何歳まで生きたのかも気になってくるのが面白い。心理学者のカール・ユングが、敢えて文明に頼らない原始的な生活を送っていたというのは意外だった。

 

 それから皆、本当によく散歩をする。特に昔は、家で出来ることが限られていたから、ずっと籠っていると飽き飽きとしてしまったのだろう。犬が散歩にテンションが上げているのをどこか滑稽な気持ちで見ていたが、人間もさして変わらないのだなと気づいた。逆に考えると、犬も家の中で五感を刺激する面白いものに囲まれて飽きない生活が出来るようになれば、散歩をダルく感じるようになるのかもしれない。

 

インスピレーションは信じなかった。そんなものがくるのを待っていたら、年にせいぜい三曲しか作れないといって、毎日こつこつ仕事をするのを好んだ。

p202 「ジョージ・ガーシュウィン」

 

 本書に登場する著名人は、普通の人々とさして変わらない日常を送っていると言ってもいい。だが普通の人と決定的に違うのは、仕事に取組む姿勢だろう。妥協なくとても勤勉に取り組んでいて、仕事に熱中していることがうかがえる。読んでいるうちに影響されて、なんだか分からないが自分も頑張ろう、とやる気になってくる。

 

 天才になれる日課などないが、自分に合った仕事に熱中できる生活リズムを見つけることは大事なのだろう。本書で紹介された天才たちの日課を色々試し、自分に合っていれば取り入れていくのも良さそうだ。

 

スタッフ/キャスト

メイソン・カリー

 

天才たちの日課

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