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「ギケイキ 千年の流転」 2016

ギケイキ: 千年の流転 (河出文庫)

★★★★☆ 

 

 古典「義経記」を、町田康が語り直す。「千年の流転」では、義経の生い立ちから、決起した兄頼朝のもとに駆けつける直前までが描かれる。全4巻の予定。

 

 古典を敬遠してしまうのは何よりもまず、その読解が困難な古文。それにはとりあえず現代語訳バージョンを読むことで解決できるが、次につまずくのは、当時の人々との感覚の乖離。いまとは全く生活レベルが違う数百年も前の人達の言動が上手く理解できない。

 

 そんな古文の前に立ちはだかる大きな壁をあっさりと取っ払ってくれて、面白い、と思わせてくれるから町田康は凄い。ただあらすじを伝えるのではなく、ちゃんと楽しませてくれる。

 

っていうか、いろんなマイルドなもので擬装されてわかんなくなってるけど私から見ればそれはいまも変わらない。っていうか、擬装されてわかんない分、今のほうがやばいかも知れない。謀略がいよよ激しいのかも知れない。知らない間に精神的に殺されてゾンビみたいになってる。奴隷にされているのに気がつかないで自分は勝ち組だと思ってる。おほほ、いい時代だね。

 

p92

 

 この「面白い」と思わせるのは、単純に現代風の言葉にするだけでは駄目で、上記のように当時の人の感覚を現代の人にわかるように丁寧に説明しているのが、実は結構重要な部分のような気がしている。

 

 ゾンビとか持ち出して自由すぎる気もするが、元々この義経記は物語として楽しまれていたということなので、こういう風に楽しませつつ物語を進めるのは間違っていなくてむしろ正しい、という巻末の解説にはなるほど、と納得した。たしかに、今なら何かあるとツイッターで呟くけど、そんな感じで昔の人は歌を詠んでいたんだよ、って言われると親近感が湧いて物語を楽しめる。

 

 今は単行本で2巻目が出ているが、全巻揃ってから一気に読みたかったなと思わせてくれる内容になっている。続きが気になってしまう。

 

 著者

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ギケイキ: 千年の流転 (河出文庫)

ギケイキ: 千年の流転 (河出文庫)

 

 

 

登場する作品 

古今和歌集 (岩波文庫)

万葉集 全訳注原文付(一) (講談社文庫)

六韜 (中公文庫)

 

 

 関連する作品
ギケイキ2: 奈落への飛翔

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義経記 新編日本古典文学全集 (62)

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