★★☆☆☆
あらすじ
休戦協定を結んでいることを知らずに手を出してしまい、凶悪な高校と全面戦争に突入してしまった主人公ら。
シリーズ第2作。133分。
感想
他の高校と抗争するあらすじからして、昭和からの伝統を引き継ぐような清く正しいヤンキー映画だ。劇中で使われている音楽も昭和を感じるロックが多くて、そんな世界観の構築に一役買っている。おそらく敢えて洒落た感じは排除しているのだろう。もはや時代劇のような様式美がある。
劇中では刃物を用いることが強く戒められていて、彼らの戦いでは相手を殺しては駄目なところが戦争とは決定的に違う。「死ね」とか「殺す」とか彼らはよく口にするがそんな気はさらさらないわけで、これはある種のスポーツみたいなものと言えるのかもしれない。かなり幅広い手口が使われているのでルールの明文化は難しそうだが、ちゃんとした競技として認めてしまえば、彼らは不良ではなく爽やかなスポーツマンになってしまうのだなと思ったりした。何事も捉え方次第だ。
それに冷静に考えると、彼らは自分の高校の名誉のために戦おうとしているわけなので、めちゃくちゃ愛校精神に溢れていることになる。勉強や先生は嫌いだが、学校自体は大好きだということか。そもそもちゃんと毎日学校に来ている時点で、大好きなのは間違いないだろう。
物語は、主人公が他校との休戦協定を知らずに破ってしまうところから始まる。それで相手側が全面戦争だ!と息巻いていたので、さっそく抗争が始まるのかと思いきや、なかなか始まらない。その代わりに何をやっているのかと言えば、両校とも校内の調整だ。校内の意見をまとめるために粘り強く交渉したりしている。したたかな政治家じゃあるまいし、四の五の言わずにさっさとドンパチやってくれよとイライラとしてしまった。
終盤にようやく抗争が始まるが、小競り合いから大乱闘に発展するというものではなく、互いのトップが話し合って対決の日時を決めた上での決闘で、本当にスポーツの試合みたいだった。そんなものより相手の都合など無視して所かまわずバチバチやり合うギラギラした戦いが見たかった。
そして、この決闘はただひたすらに両者が殴り合うシーンが続くだけだ。あまり登場人物同士の因縁が描かれていないので、正直なところあまり感情が高ぶることはなかった。これもまた、たまたまスポーツの試合を見かけた時のような、あーやってるな、ぐらいの冷静さで見つめるだけで、全体的に冗長さを感じてしまった。
ただ、エネルギーを持て余している若者やそれに似た人であれば、こんな風にただ皆が大暴れしているシーンを見るだけでも大興奮できるのかもしれない。案外、見る側の素質が問われる映画のような気がした。
スタッフ/キャスト
監督 三池崇史
原作 新装版 クローズ 1 (少年チャンピオン・コミックス エクストラ)
出演 小栗旬/やべきょうすけ/黒木メイサ/桐谷健太/高橋努/伊崎右典(FLAME)/伊崎央登(FLAME)/鈴之助/遠藤要/上地雄輔/大東俊介/橋爪遼/小柳友/阿部亮平/大口兼悟/蕨野友也/綾野剛/波岡一喜/深水元基/三浦春馬/阿部進之介/金子ノブアキ/哀川翔/山口祥行/斎藤歩/松重豊/遠藤憲一/岸谷五朗/高岡蒼甫
音楽 大坪直樹
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